7月28日のブログで、ニューヨーク市場の原油先物相場のWTI原油価格が下降に転じ、15日には140ドルを割り、17日には130ドルを割って、25日の終値は123.26ドルとなったと伝えた。
但し、このまま下がり続けるかどうかは分からないとした。
2008/7/28 最近の原油事情
その後も、一時的な値上がりはあったものの、下降を続け、15日には一時、111.34ドルまで下がった。(終値は113.77ドル)
途中でトルコのパイプライン爆発、グルジア紛争などで一時戻したが、すぐに下落に転じている。
13日には、同日発表の米週間石油在庫統計でガソリン在庫が予想以上の大幅減となったことが理由とされ、急反発して 2.99ドル高となった。
(ガソリン在庫は予想の3倍の640万バレルの減少となったが、これは製油所の稼働率が85.9%に止まったためで、米国のガソリン消費は過去4週間で2%減少している。)
しかし景気減速に伴う需要鈍化懸念が売りを誘発し、再び下落した。
年初来平均価格は114.6ドルとなっている。
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背景には最近のドル高と、世界的な景気減速に伴う需要鈍化懸念がある。
7月に欧州経済の悪化懸念でドル高・ユーロ安に転じた。
欧州連合は8月14日、ユーロ圏15カ国の第2四半期のGDPが前期に比べ実質ベースで0.2%減となったと発表、マイナスは1999年の通貨統合以来初めて。加盟27カ国全体でも0.1%減となった。
また、米国の投機規制強化の動きを嫌ったマネーが商品市場から米ドルに流入している。
最近の商品市況は、原油(最高値比 23.3%のダウン)のほか、金(20.3%)、白金(34.3%)、銅(20.0%)、アルミ(18.0%)、トウモロコシ(33.5%)、大豆(26.6%)、小麦(40.8%)など、軒並最高値から大幅に下落している。(2008/8/14 日本経済新聞)
米国エネルギー省のエネルギー情報局(EIA)は8月12日、エネルギー短期見通しを発表した。
http://www.eia.doe.gov/emeu/steo/pub/contents.html?featureclicked=1&
今後の18ヶ月の石油市場のファンダメンタルからは、需給緩和と価格弱含みが予想される。
米国とグローバルの石油需要の伸びの鈍化、第3四半期からのOPECの原油・NGLの能力増、非OPECでの供給増があいまって、OPEC原油に対する需要減、過剰能力の増加が予想される。
景気のダウンがもっとひどいとか長引くことが予想されたり、高価格のために予想以上に需要が減少した場合、値下げ圧力が更に強まる。
勿論、需要が予想以上に増えたり、能力増が予想以下の場合に、値下がりが少なかったり短期間となる可能性もあり、地域紛争やハリケーン、OPECの自主減産などが価格に影響を与える可能性もある。2008年上半期の世界の需要は前年比で日量50万バレルの増加となった。
OECD以外で日量130万バレル増加したが、米国需要が80万バレル減少した。
2008年下半期は日量100万バレルの増、2009年は通期で日量100万バレルの増(前回予想より46万バレル減)が予想される。米国の需要は1-5月が前年比で日量90万バレルの減、6-7月が40万バレル減となった。
1-6月の80万バレルの減少は1982年上半期に前年比80万バレル減となって以来の26年ぶり。WTI価格は2007年平均が72ドルであったが、2008年平均は119ドル、2009年は124ドルと予想する。
(8/15までの単純平均は114.6ドルで、年平均119ドルになるには残り期間の平均は127ドルとなる)
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なお、米連邦取引委員会(FTC)は13日、石油産業による相場操縦を禁じるための規制案を公表した。
原油やガソリン、天然ガスなどの市場を人為的に操作するのを目的にウソの情報を流すなどの不正行為をした者に対し、1日あたり最大100万ドルの罰金を科せるようにするというもので、9月18日まで一般の意見を募る。
The FTC's proposed rule would make it unlawful for any person, directly or indirectly, in connection with the purchase or sale of crude oil, gasoline, or petroleum distillates at wholesale:
a. To use or employ any device, scheme, or artifice to defraud, b. To make any untrue statement of a material fact or to omit to state a material fact necessary in order to make the statements made, in the light of the circumstances under which they were made, not misleading, or c. To engage in any act, practice, or course of business that operates or would operate as a fraud or deceit upon any person.
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東京市場ではドバイ原油、ナフサとも、WTIに合わせ下落している。
ドバイ原油は7月4日の過去最高 140.60ドルに対し、15日は108.45ドルと、32ドルの下落となっている。
オープンスペックナフサも、7月4日の過去最高 1,248ドル/トンに対し、12日には980ドルとなった。1,000ドル以下となったのは5月13日の991ドル以来初めて。(15日終値は999ドル)
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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