ベトナム最大の石化コンプレックス、9月に建設着工

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ベトナム首相はこのたび、Ba Ria-Vung Tau 省のHo Chi Minh市近郊での石化コンプレックスを9月末に建設着工することを承認した。

事業主体はタイのSiam Cementグループとベトナム側のJVのLong Son Petrochemical で、37.7億ドルを投じて建設する。

SiamグループでPVC事業を行う
Thai Plastic and Chemicals (TPC) と、TPCの子会社でベトナムでPVC事業を行うVina SCG Chemicals が合計で71%を出資、残りをPetroVietnamVietnam Chemical (Vinachem)が出資する。

工場は、Dung Quat Refinery Nghi Son Refinery に次ぐ同国第3の製油所 Long Son Refinery に隣接して建設される。

 

報道によると、コンプレックスはオレフィン 165万トン、ポリオレフィン(HDPELDPEPP) 145万トン、苛性ソーダ 28万トン、EDC 33万トン、VCM 40万トンなどからなる。

VCM系が先行し2013年後半に、残りは2016年にスタートする予定。

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ベトナムには2つのPVCメーカー(TPC Vina Plastic & Chemical Phu My Plastics & Chemicals)があるが、VCMは製造しておらず、全量を輸入している。

TPC Vina は三井化学、三井物産とTPC及びベトナム側2社のJVであったが、三井 2社が撤退し、TPCが肩代わりした。
現在の
TPCの出資比率は70%
PVC能力は190千トン。(既存の100千トンにタイから移設した60千トンプラントを90千トンに増強)

Phu My は計画段階はOccidental 40%、丸紅 30%、ベトナム側 30% であったが、先ずOccidental が、次いで丸紅が撤退し、現在はマレーシアのPetronas 93%を出資している。能力は100千トン。

両社ともVCMはマレーシアVinylchloride Malaysia から輸入している。
同社には当初は三井化学と三井物産が合計 40%を出資していたが、その後撤退し、現在は
Petronas 100% となっている。

Siam Cementグループは1990年からベトナムに進出、塩ビのほか、製紙、建設資材、物流などの事業を行なっている。

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Long Son Refinery は能力が日量24万バレルで建設費は70億ドルの予定。
消費地に近いという立地面から多くの海外企業が合弁を希望しており、Petro
Vietnam はベネズエラ国営石油公社(PVDSA)と交渉をしている。

PetroVietnam は第1の日量14万バレルのDung Quat Refinery の建設を進めており、2009年2月の操業開始を目指している。

第2のRefinery Nghi Son Refinery には20083月に、出光興産三井化学がNghi Son Refinery & Petrochemical コンプレックスの建設に向け、装置の詳細設計や経済性、資金調達方法などを検討する合弁会社への参加を決定したと発表した。

計画では合弁会社にはPetroVietnam25.2%、Kuwait Petroleum 35.1%、出光が35.1%、三井化学が4.7% 出資し、Nghi Son 経済区に日量20万バレルの製油所を建設する。2013年末の操業開始を目指す。

出光は、出資理由を以下の通りとしている。
①ベトナムのエネルギー供給事業に参画することで、同国とのパートナーシップのさらなる発展に貢献、
②クウェート原油の安定供給、出光の石油・石油化学事業で培ってきた建設・運転技術、ベトナムで急増する石油製品需要という三つの条件が揃った案件で、ベトナムでの収益基盤が構築できる。
③アジアでのさらなる事業拡大のチャンス、
④クウェートとベトナムとの一層の関係強化が図れ、安定した原油調達の確保にも寄与する。

三井化学はアロマ原料を安定的に調達することにより、PTAおよびフェノール事業の安定化と収益拡大につなげるとしている。


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