スペインの石油・石油化学メーカーCEPSA(Compania Espanola de Petroleos) は上海ケミカルパークでフェノール(年産25万トン)/アセトン(15万トン)プラント建設を計画している。政府の認可待ちの状況。
Sunoco/UOP 法を採用し、キュメン法で生産する。キュメンは当面は輸入する。
上海ケミカルパークではBayer がPCプラントを持ち、10万トンを稼動中(第ニ期で倍増)で、同地に20万トンのビスフェノールAの建設を計画しており、これにフェノールを供給する考え。
同地にはシノペック高橋石油化学がフェノール(124千トン)、アセトン(76千トン)、キュメン(162.4千トン)を生産しているが、こちらは同地に建設中の上海石化と三井化学のビスフェノールA(120千トン)に供給する。
BPA | PC | |
Bayer | 立地:上海ケミカルパーク 能力:200千トン(時期未定) |
立地:上海ケミカルパーク 能力:200千トン(第一期 100千トン稼動) JV :Bayer 90%/上海クロルアルカリ10% |
三井化学 | 立地:上海ケミカルパーク 能力:120千トン(建設中) JV :上海石化三井化工 (Sinopecと50/50) |
(帝人化成に供給) 立地:浙江省嘉興市 能力:100千トン(60千トン) |
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CEPSAは石油・石油化学の総合メーカーで、石油の探鉱・開発から精製、輸送、販売と合成樹脂、合成繊維、洗剤原料等の生産販売を行っている。
石油化学については、これまで、子会社ERTISA(フェノール)、Petresa(アルキルベンゼン)、Interquisa (PTA)で製造販売し、製油所で生産したプロピレンやBTXなどの石化製品についてはPetrocepsa で販売していたが、本年5月、これらを1社にまとめ、 CEPSA Quimica とすることを決定した。
新しいCEPSA Quimica の体制は以下の通り。
製品 | 従来 | 能力 (千トン) | 備考 |
洗剤原料(LAB) | Petresa (Spain) | 220 | |
Petresa-Canada | 120 | CEPSA 51%/SGF 49% | |
Deten Quimica -Brazil | 220 | CEPSA 72%/Petrobras 28% | |
Polyester 原料 (PTA、DMT、PIPA: purified isophthalic acid) |
Interquisa (Spain) | PTA 750、DMT 80、PIPA 30 | |
Interquisa-Canada | PTA 500 | CEPSA 51%/SGF 49% | |
Phenol / Acetone/Cumene Methylamines |
Ertisa (Spain) | Phenol 550/ Acetone 340 (現状は合計で970) Cumene 800 |
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石化製品 (BTX, PX, OX, シクロヘキサン、プロピレン) |
2つの製油所で生産 Petrocepsa で販売 |
1,110 |
注 SGF はSociété Generale de Financement du Quebec
なお、昨年12月にCEPSA はスペインのLa Seda de Barcelona, S.A に対してInterquisa を595百万ユーロで売却することで合意した。カナダ事業の持分(51%)を含む。
見返りにCepsa はLa Seda の株式 12% を取得することとなっていた。
La Seda は2006年に、元はDuPontとトルコのSabanci の合弁で、Sabanci の100%子会社となっているAdvansa から英国Wilton のPTA工場 (670千トン)と英国とトルコのPET工場(合計能力 280千トン)を買収している。
しかし、本年1月に入り、La Seda の株価が12月中旬の2.40ユーロから1.44ユーロに急落したため、この取引は無期限に延期された。
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