石油化学会社の第1四半期決算

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ナフサ等の高騰で、石油化学会社の業績が悪化しつつある。

その中で、信越化学の有機・無機化学品部門の増益が目立つ。

注) 下記企業のうち、三井化学と住友化学は棚卸資産の評価で後入先出法を採用、他は総平均法を採用している。
原料のナフサ価格が急増している時点では総平均法では期首の安い在庫の評価益が損益に大きく反映される。

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三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルは2008年4月からセグメントを全面的に組み替えた。

「事業区分の考え方自体を見直しており、従来の事業区分によった場合と比較するのが困難」としているが、下記の通り、従来の「石化」が新しい「ケミカルズ」+「ポリマーズ」にほぼ相当する。(炭素製品と肥料が加わった)
従来の〔「機能化学」+「機能材料」〕 が新しい 〔(エレクトロニクス・アプリ)+(デザインド・マテ)〕にほぼ相当。

ヘルスケアを除き、それぞれ減益となった。
ヘルスケアの大増益は田辺三菱製薬の発足による。

2007年10月に田辺三菱製薬が発足したため、2007年1Qは旧田辺製薬分が入っていない。
(旧田辺製薬の07/1Qの営業損益は105億円で、これを加えると07/1Qは220億円となる)

  06/1Q 07/1Q 08/1Q
ヘルスケア 130 115 266
石化 16 81  
ケミカルズ     24
ポリマーズ     10
機能化学 93 95  
機能材料 46 46  
Electronics Applications     57
Designed Materials     8
その他 20 22 14
全社 -11 -25 -35
合計 294 334 346

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三井化学

基礎化学品、機能材料は減益となった。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q 増減       内 訳  
数量差 売価差 変動費
  差
固定費
ほか
基礎化学品   100   141   124 -17  -1 253 -264 -5 エチレン、プロピレン等、フェノール、
合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
PEPP
先端化学品 32 33 38  5   8  ー   1 -4 精密化学品、農業化学品
機能材料 33 81 56 -25  22   46 -66 -27 自動車・産業材(エラストマー)、
包装・機能材(工業樹脂)、
生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、
ウレタン樹脂原料
その他 7 7 2 -5  -2   ー   -1 -4  
全社 -5 -11 -13 -2
合計 167 251 207 -44  27 299 -330 -40  

 

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住友化学

前年同期に赤字となった情報電子化学は能力増強が寄与して黒字に戻ったが、石油化学は赤字に転落した。
医薬は研究費増大により減益。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q  
基礎化学 27 43 16 無機薬品、合繊原料、有機薬品、メタアクリル、アルミナ製品、アルミニウム等
石油化学 36 23 -7 石油化学品、合成樹脂、合成ゴム、合成樹脂加工製品等
精密化学 32 34 13 有機中間物、添加剤、染料、機能性材料等
情報電子化学 37 -41 72 光学製品、半導体プロセス材料、電子材料、化合物半導体材料
農業化学 46 54 58 農薬、家庭用殺虫剤、飼料添加物、化学肥料、農業資材等
医薬品 153 139 110 医家用医薬品、放射性診断薬等
その他 7 4 -15  
全社 1 0 -0  
合計 339 256 247  

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東ソー

各部門とも大幅減益となり、VCMやPVCを含む基礎原料は再度赤字に転落した。

ナフサなど原燃料価格の急騰や、イソシアネート・チェーンの構築など積極投資による償却費の増大、隔年大型定修による修繕費の増大などが収益を圧迫した。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q  
石油化学 11 33 15 オレフィン製品、LDPE、HDPE 及び樹脂加工製品、機能性ポリマー等
基礎原料 -31 2 -10 苛性ソーダ、VCM、塩化ビニル樹脂、無機・有機化学品、セメント等
機能商品 62 99 22 無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、水処理装置、電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット)、機能材料、ウレタン原料等
サービス 5 5 8 運送・倉庫、建設・修繕、検査・分析、情報処理等
合計 47 139 35  
 

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旭化成

ケミカルズの営業損益は前年同期比 -81億円となった。
ホームズは受注戸数が -7.9% となっている。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q 増減
ケミカルズ 64 172 91   -81
ホームズ -37 -28 -37    -9
ファーマ 47 46 90   44
せんい 5 17 12    -5
エレクトロニクス 64 58 45   -12
建材 10 11 3    -7
その他 15 4 13    9
全社 -16 -20 -23     -3
合計 152 260 194   -65

ケミカルズ損益差 内訳
  数量差 
-14
  売価差  55 (うち為替差
-61、価格差 +116)
  コスト差 
-122

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信越化学

各社が減益となるなかで、信越化学のPVCを含む有機・無機化学品部門は増益となった。

PVCについては、国内事業は原料価格高騰の影響を受けたことに加え需要が低迷し低調であったが、シンテックは、米国内での住宅建設の低迷により需要が減少し、同業他社が大幅な減益や赤字となる中、輸出にも注力しフル操業を継続し堅調だった。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q  
有機・無機化学品  252 244 275 PVC、シリコーン、メタノール、クロロメタン、セルロース誘導体、か性ソーダ、金属珪素、ポバール
電子材料  245 388 411 半導体シリコン、電子産業用有機材料、電子産業用希土類磁石、フォトレジスト製品
機能材料その他  75 63 75 合成石英製品、レア・アース、一般用希土類磁石、液状フッ素エラストマー、ペリクル、技術・プラント輸出、商品の輸出入、建設・修繕、情報処理ほかサービス
全社  2 0 -2  
合計  573 695 758  

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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