ソマリア沖のハイジャック

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8月21日、東京の興洋海運が運航するパナマ船籍のケミカルタンカー MT Irene が、紅海の入り口に位置するエデン湾のソマリア沖で海賊に乗っ取られた。乗組員は19人で日本人はいない。 
同じ日にドイツとイランの船もハイジャックされた。

タンカー Irene はフランスのArkema のEDCをインドに輸送中で、8月10日に Fos を出港、スエズ運河を通り、25日にインドのKandla に着く予定であった。

前日にはヤシ油を運ぶマレーシアのMT Bunga Melati 2 がハイジャックされている。

8月29日にはマレーシアのBunga Melati 5 がハイジャックされた。
30千トンの
石油化学製品をサウジのYanbu から Singapore に輸送していた。

8月20日以降、合計で8隻の船がハイジャックされた。

8月23日には日本郵船の子会社日之出郵船が運航するパナマ船籍の貨物船AIZUが、高速の不審船2隻から銃撃を受けた。貨物船は船橋付近に被弾したが、ジグザグ航行などの回避操船を行った結果、高速船は姿を消した。

ソマリア沖海域は世界で海賊が最も横行している地域で、これまでに多数のハイジャックが発生している。

6月には国連の安全保障理事会が、海賊への対応で各国が軍艦をソマリア海域に送ることを許可する決議をおこなった。

マレーシア紙によると、マレーシアの船会社は捕まった船員の開放のために動いている。
以前に海賊に捕まったことのあるフランスの船長を雇い、海賊と秘密の交渉を行なっているという。船会社では交渉自体は認めているが、身代金の額については明らかにしていない。
捕まった船員は電話で、海賊が300万ドルの身代金を要求していると話した。

別途、マレーシアの軍艦も海軍特殊部隊を乗せ、同地に急行している。

情報によると、50人以上の銃をもった海賊が2隻のマレーシア船を基地に使い、8隻の船の身代金を要求しているという。
マレーシア船を基地にするのは、
イスラム教の戒律に従った食べ物があるから。

ロンドンの国際海事局によると、海賊は船荷には関心はなく、船会社に船員の身代金を求めており、開放には2~3ヶ月かかるとみている。

   

付記

9月11日付のAFPは興洋海運が運航するパナマ船籍のケミカルタンカー  MT Irene が開放されていると伝えた。    

MT Irene (フィリピン人16、クロアチア人3が乗船)は、交渉のため日本人がナイロビに到着した翌日に開放された。
   
情報筋によれば、身代金150
万ドルが支払われたという。 

ーーー   

2008年11月15日、飯野海運の運航するパナマ船籍の2万トンのケミカルタンカーChemstar Venus がソマリア沖でハイジャックされた。
乗組員は韓国人
5人、フィリピン人18人の23人。   

10月22日には、韓国人8人、ミャンマー人14人が1ヶ月の抑留の後に開放された。韓国の船会社が身代金を支払った。


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