中国国家発展改革委員会はこのたび、石炭液化(Coal-to-Liquids:CTL) 計画は神華グループ(Shenhua Group)関係の2計画を除き、新しい計画を承認しないと発表した。
まだ実験段階にあるため、技術と事業が確立するまでは過熱しているCTL事業をスローダウンし、事業リスクを避けることを狙ったもの。
例外的に認められた計画の1つは、神華グループが内蒙古のOrdosでの年産100万トンの直接法CTL事業で、既に建設中で、本年末か来年初めにスタートする。
もう1つは、Shenhua Ningxia Coal Group と南アのSasolが共同で計画している年産320万トンの間接法CTL計画。
(石炭液化技術には石炭を粉砕し,溶剤と混合して高温・高圧下で水素と直接反応させる直接液化法と,石炭を一度石炭ガス化し,生成ガスを分離・精製した原料を合成反応させ液化する間接液化法に大別される。)
神華はサソールとのJVで、陜西省 楡林と寧夏回族自治区のNingdong で夫々320万トンの間接法CTL事業を計画していたが、今回楡林の計画は棚上げした。
楡林では山東エン礦集団(Shandong Yankuang Group)が自社開発技術で100万トンの間接法CTL事業を計画しているが、これも棚上げされる。
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石炭液化事業については下記参照。
2006/6/21 石炭液化事業
中国の地方政府や企業は、内蒙古自治区、陝西省、寧夏回族自治区などの北中国の石炭が豊富な地域でCTL計画や石炭化学計画を次々に打ち出している。
中国石炭工業協会の範維唐会長は2005年11月、中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。
中国は「第11次五カ年計画」期に炭鉱の機械化生産を全面的に推し進め、大・中型炭鉱の機械化レベルを引き上げ、技術改造を通じて、300以上の高生産量、高効率の炭鉱を作り上げるが、この豊富な石炭を原料に石炭化学を推進する。
2006/6/23 中国の石炭化学
NDRCは小規模計画の乱立を恐れ、2006年7月にCTLや石炭化学の小規模計画を規制した。
CTLについては年産300万トン以上、メタノール/DMEは100万トン以上、石炭からのオレフィン製造(coal-to-olefins)は60万トン以上としている。
2006/7/21 中国政府、石炭化学を規制
NDRCは、2007年6月10日に北京で行われたセミナーで、石炭液化計画を見直すことを言明した。
「石炭液化は石油依存からの離脱に役には立つが、エネルギーを多用しすぎる」としている。
大規模な生産能力を持つ政府のモデル事業は続けるが、小規模な設備は認可しない方針。
2007/6/20 中国政府、バイオ燃料と石炭液化計画 見直し
今回は更にこれを進め、当面、新計画を認めないこととした。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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