Solvay、タイのビニルチェーン拡大

| コメント(0)

Solvay 911日、タイの子会社 Vinythai Map Ta Phut でのPVCの70千トン増強計画が完了し、PVC能力が280千トンになったと発表した。(一部ペースト塩ビを含む)

同社は2004年11月に、電解とVCMの能力倍増を発表、2006年4月にPVC能力の70千トン増強を発表した。

PVCについては今後、400千トンに増強し、電解-VCM-PVCのバランスの取れた、競争力あるビニルチェーンの確立を目指す。

  増強前      増強後 将来計画
苛性ソーダ  133千トン  266千トン    
塩素  120千トン  240千トン    
EDC  160千トン  320千トン    
VCM  200千トン  400千トン    
PVC  210千トン    280千トン  400千トン
Vinythai の現在の株主は以下の通り。  
  Solvay  49.99%  
  PTT Chemical  24.98%  エチレンメーカー(NPC とTOCが合併)、エチレン供給
 Charoen Pokphand Group  11.87%  タイの財閥

同社はVCMの能力倍増に伴い、2005年3月、タイのPVCメーカーAPEX Petrochemical に年間150千トン、5年間のVCM供給契約を締結、合わせて、同社にPVC48千トンの製造委託を行なった。

APEX Petrochemical 塩ビシート等のメーカーのAPEX が塩ビレジンに進出したもので、当初、伊藤忠、チッソ、小原化工が出資したが、経営が行き詰まり、2002年に日本側は撤退した。

更に、Vinythai 20079月、Map Ta Phut にあるAPEXの設備(120千トン)を購入する契約を締結した。
これにより合計能力を330千トンとし、既に発表している70千トン増強と合わせると、VCM能力に合った400千トン能力となる。

しかし、2007年11月になり、Vinythai APEXの設備購入を取り止めると発表した。
APEX側が契約の期限内に買収条件の履行を怠ったとしている。

今後は、時期を見て、自力でPVC能力を400千トンに拡大する。

ーーー

タイには両社のほか、Siam Cement の子会社 Thai Plastic & Chemicals (TPC)PVC事業を行っている。

タイのVCM、PVC能力推移(単位:千トン)
VCM
  2005  06  07  08
TPC-- ---------------  440  440  500  500
Vinythai  200  400  400  400
合計  640  840  900  900
 
PVC
    2006  07  08
TPC ----- Map Ta Phut  380  500  500
Bangkok  100    0    0
TPC Paste Resin   35   35   35
Vinythai  210  210  280
Apex Petrochemical  100  120  120
合計  825  865  935
 
  2007/10/10 タイ TPC、バンコックのPVC設備をベトナムに移設

タイのPVCの需給は以下の通り。(The Federation of Thai Industries、単位:千トン)

  2005 2006 2007
生産  773  737  841
消費  495  472  467
輸出  317  301  406
輸入  39  36  32

<p><p>HTML clipboard</p></p>中国需要が減少し、中国の輸出が輸入に匹敵するようになってきた今、Vinythai の拡大戦略がうまくいくかどうか、疑問。

タイの石油化学については 2006/6/8 タイの石油化学の現状 

ーーー

参考

NY原油先物市場のWTI原油は、米政府が発表した金融危機対策で景気悪化懸念が緩和するとみて上昇、19日終値は104.55ドル/バレル(前日比 +6.67ドル)となった。


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


コメントする

月別 アーカイブ