BASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設した。
同コンプレックスは次の3つのJVから成っており、2006年に稼動した。
2006年1月にBASFは上海イソシアネート・コンプレックス参加各社が中国で新しいMDIプラントの建設を考えていると発表した。
能力はワールドスケールの40万トンで、2010年頃の完成を目指し、いくつかの場所を評価しているとした。
2007年6月、BASFは新しいMDIプラントを重慶に建設することを検討していると発表した。
同社はChongqing Chemical and Pharmaceutical Holding (Group) Company (重慶化醫集團)及び地方政府との間で協力契約を締結した。
今後、この場所の競争力について詳細評価を行なうとした。
能力は40万トンで、2010年完成を目指している。
JVパートナーは決まっていないとした。
(この時点でこういう発表をしたのは、上海イソシアネート・コンプレックス参加各社は入らないように思われる)
BASFのTDI、MDIについては 2006/11/27 BASFとダウ、欧州で共同でTDIプラント建設のFS実施
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重慶化醫集團は三菱ガス化学の重慶メタノール計画のパートナー。
三菱ガス化学 51%、重慶化医 49%出資で JV を設立し、天然ガス原料で公称能力85万トンのメタノールプラント建設を建設する計画であった。2007年12月に定礎式が行なわれたが、進展しておらず、計画取り止めの可能性が強い。
2008/1/11 重慶ケミカルパークのメタノール事業
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その後、BASFからは本件について何の発表もないが、China Chemical Reporter は最近、以下を伝えた。
重慶化醫集團(2007年6月にBASFが重慶計画に関して協力契約を締結した相手)が8月29日に、主に上記のMDI計画の原料供給のために、4製品の建設開始の式典を行なった。
55億人民元を投じて、次のプラントを建設する。
・クロルアルカリ | 30万トン | (塩素、苛性ソーダ) |
・フォルムアルデヒド | 40万トン | (原料はメタノール、KingBoard Chemicalが重慶で生産している) |
・硫酸 | 40万トン | |
・クロロプレンゴム | 4万トン | (原料は塩素、ブタジエン) |
MDIの製法は以下の通りで、原料として上記のうち、硫酸、フォルムアルデヒド、塩素を使用する。
ベンゼン+硫酸→ニトロベンゼン→アニリン
アニリン+フォルムアルデヒド(ホルマリン)→MDA (methylene dianiline)塩素+CO→ホスゲン
MDA +ホスゲン→MDI+塩酸
参考
東ソーは日本ポリウレタン工業を子会社化し、ビニルチェーンの塩素をMDIに供給、副生塩酸をEDC原料とするビニル・イソシアネート・チェーンをつくった。
但し、重慶にはエチレンがないため、重慶化醫集團はエチレン法PVCはやらないと思われる。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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