中国のDME事業の現状

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中国では石炭化学が相変わらず隆盛である。

石炭ベースのメタノールから生産するジメチルエーテル(DME)についても続々プラントが作られており、2002年に30千トンであった能力が2006年には480千トン、2007年には河北省のKaiyue Group 1,000千トンプラント稼動などで2,200千トンとなり、本年末には4,475千トンになると予想されている。

更に、2008-2010年に合計6,350千トンの計画がある。

しかしながら、主たる需要はLPGとのブレンドを考えているが、LPG自体、量に限りがあることから、DMEプラントは低操業となり、コスト圧力からプラントを閉鎖せざるを得ないプラントが出ている。

2007年の能力2,200千トンの平均操業度は54.5%で、2008年も50%程度の操業度となっている。

需要や採算を十分に考えず、各省が競って新しいプラントを建設している印象である。
他の化学品についても同様の状態であると思われるが、低操業度のなかで、更に多くのプラントが計画されるのは異常である。

ーーー

もう一つ異常な点がみられる。

国家発展改革委員会(NDRC)は20067月、多数のプロジェクトの乱立で過剰能力となることなどを懸念し、規制を行うことを決めた。
通達では、年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとしている。

    2006/7/21 中国政府、石炭化学を規制

しかしながら、能力20千トン以上の現在のメーカーは以下の通りで、100万トン以上は1社だけであり、今後の計画でも3社しかない。
2006年末の能力は480千トンしかないため、下記のほとんどが規制が始まってからのものである。

Producer Location Capacity
 (kt/a
Operating rate
Hebei Kaiyue Group Langfang Hebei  1,000 60% around
Jiutai Group (Zhangjiagang) Co. Zhangjiagang Jiangsu  300 60-70%
Jiutai Group (Guangzhou) Co. Guangzhou Guangdong  300 60-70%
Shandong Yuhuang Chemical Co. Heze Shandong  250 60% around
Henan Yima Group Yima Henan  200 60% around
Xinneng Group (Zhangjiagang) Co. Zhangjiagang Jiangsu  200 60-70%
Tianhe Chemical Co. Bayan Nur Inner Mongolia  200 60-70%
Henan Jinding Chemical Co. Luoshan Henan  150 60% around
Hebei Zhongjie Group Cangzhou Hebei  100 10-20%
Hebei Yutai Group Handan Hebei  100 60-70%
Anyang Zhenyuan Group Anyang Henan  100 60-70%
Hubei Biocause Pharmaceutical Co. Jinmen Hubei  100 50-60%
Yueyang Petrochemical Co. Yueyang Hunan  100 50-60%
Shandong Jiutai Group Linyi Shandong  100 60-70%
Sichuan Lutianhua Group Luzhou Sichuan  100 60% around
Wei-he Coal Chemical Co. Weinan Shaanxi  60 60-70%
Shandong Henrui Chemical Co. Heze Shandong  50 10-20%
Henan Zhongke Chemical Co. Xinxiang Henan  50 50% around
Hebei Jichun Group Cangzhou Hebei  25 50-60%
Henan Xinhong Petrochemical Co. Luoyang Henan  25 60-70%
Qianjiang Huarun Chemical Co. Qianjiang Hubei  25 60% around
Shandong Dongming Petrochemical Group Heze Shandong  20 20-30%
Hebei Jinyuan Chemical Co. Shijiazhuang Hebei  20 50-60%
Xinneng Group (Bengbu) Co. Bengbu Anhui  20 60-70%
Total  3,595

New DME Projects between 2008-2010

Producer Location Capacity
 (kt/a
Chian National Coal Group------------ Inner Mongolia--------  3,000
Jiutai Group Zhangjiagang  1,200
Xin'ao Group Zhangjiagang  1,000
Tianhe Chemical Co. Inner Mongolia  200
Yunnan Jiehua Group Yunnan  150
Chongqing Minsheng Gas Co. Chongqing  150
Guizhou Tianfu Chemical Co. Guizhou  150
Baota Petrochemical Group Ningxia  100
Shanxi Lanhua Sci-tech Venture Co. Shanxi  100
Linfen Tongshida Co. Shanxi  100
Anyang Zhenyuan Chemical Co. Henan  100
Hongkong Xiexin Group Inner Mongolia  100
Total  6,350

Source: ASIACHEM Consulting
2008/9/21-24 3rd International DME Conference & 5th Asian DME Conference )

これらの各社はNDRCへの申請書では2~3期に分けて合計100万トン以上の計画として承認を受け、とりあえず第1期を実施する。
実際にはほとんど全社が第1期のみでとどめている。

それにしても、
100万トン以上の計画の第1期が10万トンや15万トンというのは、余りにも小さすぎる。
どうしてこういう計画がそもそも承認されるのだろうか。

これらのプロジェクトは地方政府のバックアップを受けており、NDRCとしても処罰をしえない状態にある。

恐ろしい国である。


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