EUの欧州委員会は10月1日、European Economic Area (EEA)でパラフィンワックスの価格カルテルを結び、市場を分割していたとして、石油化学会社9社に合計676百万ユーロの制裁金支払いを命じた。
摘発された企業と制裁金(千ユーロ)は以下の通り。
Sasol はリーダーとして制裁金 50%増し、ENIとShell は重犯で60%増しとなった。
但し、Shellは自主申告したため、制裁金を免除された。
Sasol, Repsol、ExxonMobil は調査協力で制裁金を一部免除された。
自主申告・協力 での免除 |
制裁金 | |||
免除率 | 免除額 | |||
Sasol, South Africa and Germany | 50% | 318,200 | 318,200 | リーダーとして50%増し、調査協力で50%カット |
Shell, UK/The Netherlands | 100% | 96,000 | 0 | 重犯で60%増し、自主申告で制裁金免除 |
Total, France | 128,163 | |||
ExxonMobil, USA | 7% | 6,291.6 | 83,588.4 | |
RRWE, Germany | 37,440 | |||
ENI, Italy | 29,120 | 重犯で60%増し | ||
Hansen & Rosenthal, Germany | 24,000 | |||
MOL, Hungary | 23,700 | |||
Repsol, Spain | 25% | 6,600 | 19,800 | |
Tudapetrol, Germany | 12,000 | |||
TOTAL | 676,011.4 |
パラフィンワックスはキャンドルから紙カップ、紙皿、チーズのコーティング、タイヤ、チューインガムなど、いろいろな用途があり、EUでは欧州でほとんどの家計がこのカルテルの影響を受けているとしている。
EUはこのカルテルで被害を受けた個人又は企業は、各国の裁判所に損害賠償の訴えをすることができると述べている。
EUによると、Shell 内部ではカルテルは "paraffin mafia" と呼ばれ、Sasol では会合が行なわれるハンブルグのホテルのバーの名前をとって "Blauer Saloon (Blue Saloon) " と呼ばれていた。
EUでは、各社は違法行為であることを認識していたとしている。
カルテル活動は1992年から2005年の間に行なわれ、2005年にシェルからの内報で調査が行なわれた。
EUでは、この制裁金は過去4番目の大きさのもの。
①エレベーターカルテル(2007年) 992.3百万ユーロ
2007/2/28 EU、エレベーターのカルテルで過去最高の罰金
②ビタミンカルテル(2001年) 790.5百万ユーロ(当初は855.2百万ユーロ、2社減額)
Hoffman-La Roche (462百万ユーロ)、 BASF(296.16→236.8)、 Aventis(5.04)、
Solvay Pharmaceuticals(9.1)、Merck(9.24)、
武田薬品工業(37.05)、エーザイ(13.23)、第一工業製薬(23.4→18)
*米国でも課徴金
③電力用ガス絶縁開閉装置(2007) 750.5 百万ユーロ
2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金
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Sasol では制裁金が多額であることに驚き、理解できないとして、第一審裁判所に控訴するとしている。
同社は1995年にSchümann group のワックス事業の共同経営者となり、2002年7月に買収で100%所有としたが、2005年4月にEUが調査を開始するまで、カルテルの存在を知らなかったとしている。
調査にも協力し、制裁金の50%カットを受けている。
ENIも、EUは同社の関与が限定的、短期的であることを認めているとし、控訴するとしている。
* 総合目次、項目別目次は
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