FAOのバイオ燃料評価

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国連食糧農業機関(FAO)は107日、2008年版の食糧農業報告(The State of Food and Agriculture 2008)を発表した。

これについて、全く異なる報道がなされた。

日本経済新聞は「バイオ燃料をFAOが肯定 長期的には農業振興」のタイトルで、以下の通り報じた。

(FAOは)「短期的には食糧の不足を招く可能性があるが、長期的には農業と地域の振興につながる」と肯定的な見解を示した。

FAOは「バイオ燃料は食糧価格を上昇させている数ある要因の1つ」とし、アフリカ諸国などが唱える"主犯説"を否定した。同時に食糧から生産するばかりではなく「木材の繊維質などから取り出す次世代バイオ燃料の開発が重要」と訴えた。

これに対して共同通信は「バイオ燃料生産見直しを  FAO、温暖化防止に疑問」と報じた。

(FAOは)バイオ燃料について、地球温暖化防止効果は予想以下で、石油など化石燃料を代替するほどの生産も見込めないなどとして、生産拡大のための補助金支出や税制面の優遇策を見直すよう各国に求めた。

温暖化防止効果について、報告書は同燃料の原料となるトウモロコシやサトウキビ栽培のために草原や熱帯雨林が伐採されることで、逆に二酸化炭素(CO2)の吸収が阻害されると指摘。

さらに、栽培のため使われる化学肥料や殺虫剤の生産、作物輸送などが温室効果ガス発生源になっており、結果的に化石燃料より同ガスを多く発生する場合があるとした。

FAOは食糧農業報告の概要を以下のように説明している。
報告本文は 
http://www.fao.org/docrep/011/i0100e/i0100e00.htm

Biofuels にはopportunities risks がある。国や採用政策により異なる。
現在の政策は先進国の生産者に有利となっているが、リスクを減らし、メリットを広めることが必要。

Biofuel 生産は2000年から2007で3以上になったが、世界の輸送用燃料の2%にしかならない。
今後も食用の砂糖、とうもろこし、オイルシード等への需要は増え、食品価格上昇のプレッシャーとなる。

Opportunities for the poor
先進国の農業補助金、Biofuel 補助金、貿易障害などが途上国の生産者の犠牲で人為的市場をつくり、先進国の生産者を利しているが、これらが取り除かれ、途上国の生産者がメリットを受けるなら、農村開発に役立つ。

化石燃料との混合比率をきめる法律や、税優遇策なども経済的、社会的、環境的コストとなり、再検討すべきだ。

Food security
Biofuel
の需要増大とその結果の農産品価格の上昇は途上国にとり重要な好機である。
Biofuel 用農産品の生産は所得と雇用を生み、貧しい農民の農地拡大、市場へのアクセスを支援する。

しかし、食料安保への懸念も大きい。食糧価格上昇は既に輸入食糧に依存する途上国にマイナスの影響を与えている。
「人類を飢えから救うという究極の目的を守る努力が必要である」

Greenhouse gases
環境面からみて、バランスはプラスではない。
Biofuel の使用、生産の増大は以前に想定されていたほど温室効果ガスを下げていない。

土地利用の変化(農地拡大のための森林伐採など)は土地の質、生物学的多様性、温室効果ガスへの脅威となる。

Second generation
木材、高草イネ科植物、木材・植物の残渣等を利用する次世代biofuels は化石燃料と温室効果ガスのバランスを改善しよう。

この研究開発に金をかけるべきだ。


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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