産廃金属購入談合で排除命令

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公正取引委員会は10月17日、地方公共団体の産業廃棄物処理施設から出る「溶融メタル」等の入札等参加業者に対し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたとして、排除措置命令と課徴金納付命令を出した。

  事業者名 排除措置
命令
課徴金
納付命令
課徴金額
(万円)
 
1 三菱マテリアル  ○  ○  513  
2 マテリアルエコリファイン  ○  ○  211 三菱マテリアル子会社
3 日鉱環境  ○  -  - 日鉱金属子会社
4 エコシステムジャパン  -  -  - DOWA子会社 旧称テクノクリーン
5 東京商事  -  -  - DOWA子会社 2004/4にテクノクリーン対し、同事業を譲渡、その後解散
6 DOWAホールディングス  -  -  - 2006/10、同和鑛業から改称。
DOWAエコシステム、DOWAメタルマインが事業継承
(それまでは同和が東京商事に本件で指示)
  合計  3社  2社  724  

廃棄物処理施設において発生する金属混合物のうち、溶融炉(焼却灰、飛灰等を溶融する施設)の排出口から常時排出される「溶融メタル」、溶融炉を傾けて取り出される「傾動メタル」、溶融炉の底に溜まり固まったものを切り出して取り出される「炉底メタル」などで、銅、金、銀等の貴金属の製錬用原料として用いられる。

三菱マテリアル、マテリアルエコリファイン、日鉱環境、エコシステムジャパン、東京商事及びDOWAホールディングスの6社は、三菱マテリアルの提案等に基づき、2004年3月以降、地方公共団体が一般競争入札、指名競争入札、見積り合わせによる随意契約などで売却する溶融メタル等について、購入価格の上昇を防止するため、談合を行なった。

自社(又は子会社等)が溶融メタル等を製錬する施設を有する者は、上記1~5の5社で、DOWAホールディングスは子会社の東京商事に指示をしていた。

2007年7月に談合は取り止められたが、違反期間内に行なわれた入札など175件(売却額計575百万円)のうち、162件で談合があったと認定、うち126件で(同404百万円)で実際に受注していた。

三菱マテリアル、マテリアルエコリファイン、日鉱環境の3社に排除措置命令が、三菱マテリアルとマテリアルエコリファインに合計724万円の課徴金納付命令が出された。

DOWA関係の3社(東京商事は解散済み)は談合への関与を認定されたが、違反を自主的に申告するなどしたため処分を免れた。

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なお、購入カルテルも当然、「不当な取引制限」に該当するが、購入額を算定の基礎として課徴金の納付を命じることとされている。
この規定は平成17年改正により導入された。

過去の購入カルテルには次のものがある。(いずれ課徴金は課されていない。)

 1992/6/9 審決 四国食肉流通協議会に対する件
            会員の肉豚の購入価格の取決めの際に用いる豚枝肉の建値を決定していた。

 1983/3/11審決 旭硝子㈱ほか3名に対する件
            輸入ソーダ灰の輸入数量,引取比率及び輸入経路を決定していた。


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