政府は10月20日夜、「地球温暖化問題に関する懇談会」で、国内排出量取引制度の試行実施の最終案を提出した。
21日朝の地球温暖化対策推進本部で正式決定、2008年度からの参加企業の募集を開始する。
「地球温暖化問題に関する懇談会」の設置は2008年2月22日に閣議決定した。
低炭素社会に向けた様々な課題について議論を行うため、内閣総理大臣が有識者の参集を求め、地球温暖化問題に関する懇談会を開催する。
奥田 碩 トヨタ自動車取締役相談役・内閣特別顧問が座長。「地球温暖化対策推進本部」は京都議定書の着実な実施に向け、地球温暖化防止に係る具体的かつ実効ある対策を総合的に推進するため、1997年12月に閣議決定により内閣に設置された。
その後、2005年2月、京都議定書の発効に伴い、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正法が施行され、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するための機関として、法律に基づく本部として改めて内閣に設置された。
国内排出量取引の試行実施は、低炭素社会づくり行動計画(2008年7月29日閣議決定)において、2008年10月から開始することとされた。試行期間は2012年度までとし、問題点を洗い出した上で、13年度以降に本格実施する。
概要は以下の通り。
詳細は http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/2008/1021.pdf
1.企業等が自主的に削減目標を設定し、その達成を目指して排出削減を進める。
1)設定主体は事業所・個別企業・複数企業(企業グループ)とする。
原則として「業界団体を構成する企業全体」での参加は認めない。
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鉄鋼メーカーは、日本鉄鋼連盟を通じて海外の排出枠を取得してきた実績をもとに団体参加を主張。
2)対象ガスはエネルギー起源CO2とする。
3)参加者が目標を自主的に設定する。
目標の水準は
①当該参加者の直近の実績以上、
②目安として、参加者の所属する自主行動計画の目標又は実績のうちいずれか高い水準以上とする。
4)排出総量目標、原単位目標のいずれも選択可能とする。
5)目標設定年度
2010年度の目標を目安として、2008~2012年度のうち全部又は一部の年度を任意に選択する。
選択した設定年度の各年度ごとに、排出削減目標を設定し、目標達成の確認を行う。
2.排出量取引
企業等は排出枠・クレジットを調達し、目標達成に充当することができる。
対象となる排出枠・クレジットは、以下のものとする。
・他の企業等の削減目標の超過達成分の排出枠
・国内クレジット(大企業が自社の技術や資金を提供して実施する中小企業の排出削減量を認証)
・京都クレジット(途上国の排出削減を支援する京都議定書のクリーン開発メカニズム=CDM)
排出枠の取引は、参加者の責任において自由に行うことができる。
3.フォローアップ事項 | ||
① | 技術とモノ作りが中心の日本の産業に見合った制度として、削減努力や技術開発に繋がる効果はあったか。 | |
② | 円滑な取引や価格発見など市場メカニズムは適正に機能したか。他方、「マネーゲーム」による弊害はなかったか。 | |
③ | 排出枠・クレジットの発行・管理や自主目標の達成確認等のシステムは安全かつ円滑に機能したか。 | |
④ | 参加者の実施コスト(取引、モニタリング、検証等)はどの程度であったか。 | |
⑤ | 国際的なルールづくりに貢献できる知見として何が得られたか。 |
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日本の制度は企業が排出量を自主的に設定するなど、産業界の「参加しやすさ」を最優先する制度で、政府が排出枠を強制的に決める欧州連合(EU)の制度とは大きく異なる。
2005年に制度を導入したEUは、一定以上のエネルギーを使う発電所など約1万1500事業所の参加を義務づけ、原則として各国政府が、過去の排出実績などを基に各事業所の排出枠を厳しく決めている。
各事業所は排出枠を達成できない場合、高額の課徴金を払わなければならない。
日本の制度は、参加は任意であるほか、企業ごとの排出枠は、政府の点検はあるものの、基本的には業界ごとに定めた「自主行動計画」に沿って自ら決める方式となった。
このため、参加企業全体の排出枠などが決まらず、「温室効果ガス削減という環境政策上の効果を期待するのは難しい」との懸念の声が上がっている。
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付記
参加者募集資料 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/dim/trial.html
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
こんにちは。
排出量取引制度の試行実施要項が決まって、多くの企業が参加するようですが、営利企業がCO2排出権(量)を販売する目論見で参加することはあっても、排出権(量)を購入するために参加するわけがないので、多分排出権(量)価格は暴落すると予想しています。
多分、日本の全ての大企業が試行に参加し2~3年継続しても、対GDP比のCO2排出量は減少しないと思います。
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/7268767.html
それに、すでにCO2悪玉説を否定する気候データが記録されているので、今回の排出量取引制度は試行のみで終演すると予想しています。
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/7730859.html