EUの化学物質新規制 REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and restrictions of Chemicals)が2007年6月1日に発効した。
2007/6/4 REACH 発効
本年6月1日から12月1日までに既存化学物質の予備登録を行なうこととなっている。
「REACH規則」には「高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern )の通知義務」の項目がある。
製品中に「高懸念物質」が重量比で0.1%以上含まれている場合、企業は直ちにその旨を公表する義務があり、消費者からの情報の要求があれば45日以内に答えなければならない。
高懸念物質(SVHC)の対象は以下のとおりとされており、行政庁において具体的な物質リストが作成される予定となっている。
①一定程度以上の発ガン性・変異原性・生殖毒性物質(CMR物質)
②残留性、蓄積性、毒性を有する物質(PBT物質)
③残留性及び蓄積性が極めて高い物質(vPvB物質)
④上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなもの(個別に特定)
SVHCリストに掲載される化学物質は約1,500種と言われているが、一度に全てのSVHCが公開されるわけではない。
本年6月30日にSVHCの候補物質として、パブリックコメント募集用として16物質が公開された。
British Rubber & Plastics の伝えるところでは、REACH をフォローしている英国のコンサルタント会社のSmithers Rapra Technology は、最初のSVHCのリストは今月末に発表される予定で、候補品目が9つあり、そのうち樹脂加工にとって重要な化学品が7つ含まれているとしている。
候補に含まれるのは以下の7品目とされている。
・フタル酸エステル系可塑剤のDEHP、DBP、BBP
・ポリスチレン用の臭素系難燃剤 HBCDD
・タイヤ添加剤 二塩化コバルト
・ポリウレタン原料MDI製造用のMDA (methylene dianiline)
・ゴム、ペイント、接着剤などの難燃剤 SCCPs(短鎖塩素化パラフィン)
付記
2009年1月14日、 European Chemicals Agency(ECHA)は7品目をSVHCの候補案として公表した。
http://echa.europa.eu/doc/press/pr_09_01_consultation_substances_authorisation_20090114.pdf・フタル酸エステル系可塑剤のDEHP、DBP、BBP
・ポリスチレン用の臭素系難燃剤 HBCDD
・5-ter-butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene (musk xylene)
・ポリウレタン原料MDI製造用のMDA (methylene dianiline)
・ゴム、ペイント、接着剤などの難燃剤 SCCPs(短鎖塩素化パラフィン)
VEC(塩ビ工業・環境協会)のメールマガジン(2009/1/29)ではDEHPについて、以下のように説明している。
DEHPは詳細なリスク評価が終わっており、現行の規制を超える使用制限は必要ないと結論されています。そのため、EUの可塑剤業界は、現在、認められているほぼすべての用途について認可が得られるであろうと見ています。
仮に認可対象物質となった際にどうなるのか?
DEHPそのもの、或いは、調剤(コンパウンドなど)としてEU内で供給しようとする者は、それぞれの用途毎に認可を得る必要があります。
他方、DEHPを含む製品(Article)の輸入品には追加的な義務や制約はかかりません。仮に、認可されていない用途であっても、当該化学物質を含む輸入製品(Article)は認可の対象ではなく、既存の規制を超える追加的な制限はかかりません。<p>HTML clipboard</p>
付記
2009年5月26日、欧州化学品庁(ECHA)は、欧州加盟各国がDEHPなど3種のフタル酸エステルを含む上記7物質を最初の認可(Authorisation)物質とすることに同意し、加盟各国委員会の意見を考慮の上で正式に決定される、と発表した。
可塑剤工業会はこれに関して、見解とQ&Aを発表した。
http://www.kasozai.gr.jp/news/news26.html
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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