昨日、Ineos が「噂が流れているが、全く問題なし」と異例の発表をしたことを報じた。
2008/11/18 Ineos 苦境?
実際にはこの発表が事実でないことが明らかとなった。
現地時間の11月17日(上記記事のアップ後)、同社はBarclays と Merrill Lynch 主導の銀行団に対し、総額70億ユーロの2つの借入契約を2009年5月末まで免責するよう要請したと発表した。
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グローバルな経済危機の影響を受け、出荷が通常レベルの1/3から1/4に落ち込んでいるという。
「前例のない事態に直面している。需要家は工場を止めたり、在庫を減らしたりしている」としている。
同社が巨額の借入金を抱えてやっていけないのではないかとの懸念で、同社の借入金、ボンドの価値が急落した。
同社のユーロ建てローンは額面の47.4-50.5%に落ち込んでおり、第二抵当のローンは額面の24-32%にまで下がった。
同社向け債権の保護の費用は70%以上となった。債権者は10百万ユーロの債権の貸し倒れを予防するためには7百万ユーロの支払いが必要となる。
Moody はIneos の企業としてのレーティングをB1からB3に2段階下げ、更なる引き下げも検討するとしている。
同社の第一抵当のローンについてはB2に、第二抵当ローンについてはCaa2 に引き下げた。
Ineosでは(借入契約の2009年5月末までの免責を要請したことについて)来年5月には事態がもっとはっきりするだろうとしている。
しかし、市場では、同社が来年5月末までに問題を解決するとは思えず、76億ユーロの借入金のリストラは避けられないとし、かなりの資産の売却が必要とみている。
Lyondell Basell のボンドの価値も、化学業界の業績悪化見通しから、この数日で額面の13-15%下がっている。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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