WACKER とDow Corning、張家港市でシリコーン原料生産開始

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WACKER Dow Corning 11月14日、江蘇省・張家港市でシロキサンと乾式シリカの生産を開始したと発表した。

両社の投資額合計は12億ドルに達する。

シロキサンと乾式シリカの能力合計は約20万トンで、順次操業度を上げ、2010年末にフル稼働する。

シロキサンは、シリコン(珪素)を原料とするシラン(有機珪素モノマー)のポリマーで、有機ポリシロキサンをべ一スとした材料の総称がシリコーン。

乾式シリカ(ヒュームドシリカ)は二酸化珪素(SiO2)で、主な用途はシリコーン樹脂の充填材。

この事業のため、両社は2つのJVを設立した。

事業 JV社名    出資比率 建設担当
WACKER Dow Corning
シロキサン製造 Dow Corning (Hldg.) 25% 75% Dow Corning
乾式シリカ製造 Wacker Chemicals Fumed Silica Hldg 51% 49% WACKER

シロキサン工場は乾式シリカ工場に原料のクロロシランを供給し、乾式シリカ工場は逆に副生塩酸をシロキサン製造のために供給する。

Dow Corning WACKER は共にアジア、中国を今後の成長を見込める優先地域と考え、最新鋭の技術を投入することとした。

両社はJV製品をもとに、同地で最終製品を別個に製造し、それぞれの需要家に販売する。

WACKER張家港市で、2005年にポリマーパウダーを、2006年にシリコーンエラストマーとシリコンシーラントを製造開始している。

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Dow Corning はシリコーン事業を行うため、1943年にDow Corning Glass Works (現在はCorning, Inc.)の50/50JVとして設立された。

2007年の売上高は49.4億ドル、純利益は6.9億ドル。

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WACKER の基は1903年にAlexander Wacker が設立した電気化学コンソーシアムで、1914年にWacker-Chemie GmbHが設立され、1916年にアセトアルデヒド、酢酸、アセトンの最初の大規模生産を行なった。

Wacker 一族が51%Hoechst 49%出資していたが、2006年に株式公開を行った。依然、Wacker 一族が50%強を保有している。

2007年の売上高は以下の通り。

百万ユーロ
Chemicals Wacker Silicones  1,361.0
Wacker Polymers   532.8
Wacker Fine Chemicals   112.4
小計  2,106.2
Wacker Polysilicon   456.9
Siltronic  1,451.6
Others   247.2
Consolidation  -480.7
Total  3,781.3

同社はVAEの製造でAir Products との間に2つのJV(Wacker Polymer Systems:80%保有、Air Products Polymers:35%保有)を持っていたが、本年に入り、両社のAir Products 持株を買い取り、いずれも100%子会社としている。

300mm Wafer では韓国のSamsung との50/50JV Samsung Wafer をシンガポールに設立している。


* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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