世界の主要な天然ガス生産国が参加するGas Exporting Countries Forum (GECF) が12月23日、モスクワで第7回閣僚級会議を開き、原油価格が急落する中で、天然ガス生産国による公式な国際機関を発足させることで合意した。
憲章が合意され、カタールの首都ドーハに本拠を置くことが決まった。
ロシアが主導するもので、OPECにならったガス版カルテルの創設もちらつかせている。
GFCFはメンバー諸国の協力強化のために設立され、2001年にイランで第1回会合を開いた。
正式メンバーは14カ国で、他に赤道ギニアとノルウェーがオブザーバーで入っているが、今回赤道ギニアがメンバーに認められた。
なお、今回の会議からカザフスタンがオブザーバーとして認められた。
メンバー諸国の天然ガス埋蔵量及びシェアは以下のとおり。(2007年末、単位:trillion cubic feet)
埋蔵量 % (Members) Russia 1,576.75 25.17 Iran 981.75 15.67 Qatar 904.06 14.43 UAE 215.07 3.43 Nigeria 186.99 2.99 Algeria 159.45 2.55 Indonesia 105.94 1.69 Malaysia 87.40 1.40 Venezuela 81.87 1.31 Egypt 72.85 1.16 Libya 52.80 0.84 Bolivia 26.13 0.42 Tri nidad & Tobago 16.95 0.27 Brunei 12.11 0.19 Equatorial Guinea N.A. 0.00 小計 4,480.12 71.53 (Observers) Norway 104.57 1.67 Kazakhstan 67.20 1.07 合計 4,651.89 74.27 World Total 6,263.34 100.00 : (参考) Saudi Arabia 253.03 4.04
メンバー諸国の発言は慎重で、 | |
・ | 会合の目的は憲章の承認であり、OPECのような価格カルテルをつくることではない |
・ | ガス生産量のレベルを話し合うのではなく、もっと広い観点の議論をしている |
・ | 主な目的はガス市場をモニターしたり、共同研究を行うことだ |
・ | OPECは「今日」を見ているが、我々は将来を見ている。ガスは長期契約で、価格も石油と結びついており、今後10年間は数量や価格をコントロールできない |
などとしている。 |
しかし、ロシアのPutin 首相は会議の席で、「ガス田開発の費用は急増しており、安いエネルギー、安いガスの時代は終わった」と述べた。
Putin 首相のこの発言は、ロシアのGazprom とウクライナとの間の天然ガス代金支払いに関する争いの最中になされた。
Gazprom はウクライナの国営ガス会社Naftogazがガス料金を滞納しており(累積債務は24億ドル)、支払いがない場合、来年1月1日からガス供給を停止する考えを明らかにしている。
Gazprom はEUのガスの1/4を供給しており、ほとんどがウクライナを経由している。
EU向けの供給に支障が出るのではとの懸念も出ている。
専門家の間では、原油と異なり、天然ガスは膨大なコストがかかるパイプラインが必要であり、長期契約が通常であるため、カルテルはうまく機能しないだろうと見ている。しかし、中期的には価格上昇につながる可能性はある。
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