原油のバブルがはじけた。
ニューヨーク原油先物市場でWTI原油は本年の取引初日(1月2日)に一時 100.00ドル/バレルをつけた。
その後、7月11日には一時147.27ドルの過去最高を記録した。
しかし、その後は急落、11月19日には一時 32.40ドル、12月26日終値は37.71ドルとなった。
たったの半年で115ドルの値下がりである。
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付記
12月31日は上昇し、終値は44.60ドルとなった。
年間の平均価格は99.63ドル。
2006年7月から年末にかけて、原油価格は値下がりした。
2006/9/25付けの ナフサ価格 急落 で以下のように述べた。
昨年(2005年)まで上昇を続けてきた米国の住宅建設は、金利上昇を背景に1月から減少に転じ、8月の着工件数が2003年4月以来の低水準となったように、米経済の減速が明らかになった。
原油に投じられていた投資マネーが天然ガス価格の急落でヘッジファンドが破綻したことや米国景気の減速を材料に、リスクの高い原油先物から安全な米国債に逃避する動きが加速し始めた。
米ヘッジファンドのアマランス・アドバイザーズ(Amaranth Advisors)が50億ドルの損失を計上して事実上解体を余儀なくされ、マザーロック(MotherRock) も解散に追い込まれた。
天然ガスは原油などに比べ流動性に乏しいが、両社は借入金を増やして購入額を膨らませていた。
NYMEXの天然ガス先物は昨年12月に百万BTU(英熱量単位)当たり15ドルと最高値を付けたが、最近になって下げ足を加速、先週は一時4ドル台に下がった。この結果、先物投資で大量の買い持ちのある両社は相場急落の局面で大きな損失を出した。この報道を受け、原油を含む商品先物全般で売り優勢になった。
これまでの原油高を支えていた投機マネーが原油から逃げ出せば、原油価格やナフサ価格は更に下がる可能性がある。
しかし、この予想は外れ、2007年に入り原油価格は上昇に転じた。
2007年夏にはサブプライムローンの問題を引き金にした世界的な信用収縮不安で、幅広い層の投資家がリスク資産から資金を引き揚げる動きが続いた。
その資金は原油や希少金属、穀物など現物に回り、原油価格も急上昇した。
本年の夏に、米国政府が先物市場の監視を強めたため、今度は原油など現物取引からのファンド資金の流出が始まった。
7月31日に米ベアー・スターンズ傘下のファンドが破綻してサブプライムローンの影響が甚大であることが明らかになり、その後は金融危機が広がった結果、原油市場から資金が流出して原油価格は急落した。
サブプライム問題の影響は金融から実物経済に広がり、世界経済に大きな影響を与えている。
原油価格は需要と供給の関係(中国需要の増大はあった)だけではなく、ヘッジファンドや年金資金が大量に入り込んで暴騰し、それらが一斉に引き上げて暴落した。まったくのバブルであった。
東京市場の動きは下記の通り。
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2006年2月15日にスタートしたが、この12月29日で、949回となった。まもなく1000回目を迎える。
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パレスチナの軍事衝突が拡大の方向に向かっています。
これまでの原油価格の急激な下落は、これを見越して行われたもので、これで利幅を形成してきた投機筋は、価格急騰により再び暴利をえることになります。