信越化学、ポルトガルの塩ビJVを完全子会社化

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信越化学は12月10日、ポルトガルの塩ビ製造販売の関連会社・CIRES (Companhia Industrial de Resinas Sinteticas) の完全子会社化の手続きに入ったと発表した。
  
CIRES 同社の海外進出の第1号で、1960年に設立された。

当時ポルトガルでは合成樹脂について国内に原料のあるPVC計画のみが検討されおり、その認可を受けた同国最大の電力会社で傘下にカーバイド製造会社を持つウニオン・エレクトリカ・ポルトゲーザ(UEP)が提携先を探していた。
三井物産のアレンジで信越化学の参加が決まった。
三井物産と信越化学がそれぞれ25%出資、現地側はUEP 12.5%、市中銀行2行で35%、機械商社2.5%の出資比率であった。

1963年に年産3,600トンでスタートした。(現在の能力は20万トン)

その後長期間、三井と信越は26%ずつの出資を続けたが、1992年にNorsk Hydroが26%の出資を行った。
2007年にINEOSが
Norsk Hydroのポリマー事業を買収した
     
2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収

今回の完全子会社化の目的は、CIRESを信越化学と一体化させることで、同社の事業運営のスピードアップを図り、欧州における塩ビ事業の一翼を担う存在として事業を拡大させて行くこと。

買収は先ず、Shin-Etsu International Europe INEOS Chlor Vinyls の保有全株式を買収し、過半数(52.31%)とした後、ポルトガルの法律に基づき、株式公開買付を行なう。
全株式取得に必要な資金は、約19百万ユーロ(約22億円)の予定。

   手続前  08/12/9契約  09/3開始
Shin-Etsu International Europe  26.07%    52.31%    100%
INEOS Chlor Vinyls  26.23%  売却   -     -
三井物産グループ  26.07%    26.07%  TOB   -
その他現地資本  21.63%    21.63%   -

同社の業績は以下の通り。(単位:千ユーロ)

  07年12月期 06年12月期
売上高  176,195  158,175
営業利益    2,363    2,575
当期純利益    1,289    1,229


信越化学の塩ビ事業は、アメリカのシンテック社を中核とし、欧州、日本と併せた3極体制で世界中の顧客に安定供給を行っている。

信越グループの能力千トン)
  場所 PVC  VCM 塩素  備考  
現状 計画 現状 計画 現状 計画
日本 信越化学 鹿島   550            
鹿島塩ビ 鹿島      492/600       残りはカネカが引取り
米国 Shintech Freeport, Texas  1,450       825    500  
Addis, Louisiana   590            
Addis, Louisiana  (270)           Bordenから購入、廃棄
Plaquemine, Louisiana  300  300  500  250  300  150  
欧州 CIRES ポルトガル   200            
信越PVC オランダ   450     620        
フィンランド   (90)           製造委託契約終了
合計  3,540  300  1,612  1,075  300  650  
注) Freeport のVCM/塩素計画はダウ・ケミカルが2008年1月に同事業の縮小方針を転換して信越化学への長期供給を決めたため、自社生産の緊急性が薄らいだ。
白紙撤回はしない考えだが、稼働時期は状況に合わせて見直すことにした。

2006/5/16  世界一の塩ビ会社 信越化学

2007/6/1   シンテック、テキサス州にVCM工場の建設許可を申請


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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