三菱ケミカルホールディングスは9日、事業説明会を開き、2008-10年度の中期経営計画の見直しの説明を行なった。
3年間の設備投資額(投融資含む)を、当初の5900億円から1600 億円減額し、4300億円にする。世界景気の減速が顕著になり、計画の見直しを迫られた。
研究開発費は当初計画比200億円減の4050億円とする。市場の成長が見込める白色発光ダイオード(LED)とリチウムイオン電池材料に研究開発費を優先的に配分するとしている。
詳細 http://www.mitsubishichem-hd.co.jp/ir/pdf/20081209-2.pdf
なお、合わせて炭素事業と電池材料事業の説明が行なわれた。
同社の中期経営計画については 2008/9/10 三菱化学の石油化学事業の将来
今回の見直し内容は以下の通り。
石化事業全般として、C3/C4誘導品は戦えるが、C2誘導品は厳しいとの見方を示した。
このため、C2系については中期経営計画期間で以下の施策を加速する。
・C2系の弱い事業の撤退(収益悪化リスクを約100億円軽減)
・PE事業基盤強化(設備集約と高付加価値化)
・ユーティリティ設備削減と最適化
・アセットライト(資産・資本の軽減)
2010年に2000億円削減(在庫削減、持株譲渡、事業撤退ほか)アルファオレフィンとエトキシレートは2009年に停止
ABSはテクノポリマー持分をJSRに譲渡
2008/11/28 三菱化学、ABS事業から撤退
その他のC2誘導品についても、今後対応を検討する。
今後は強みのある誘導品を中心とした事業展開を図る。
鹿島コンビナート 競争力あるオレフィン・アロマティックスセンター化
水島コンビナート 競争力ある誘導品に特化
四日市事業所 自動車向け高付加価値製品に特化
海外拠点 競争優位の事業に特化
また、コンビナート各社と連携し、プラント統廃合を検討する。(海外では各エリアで強い企業と提携)
更に、ナフサ依存型脱却に向け、原料転換の技術開発を加速する。
>HTML clipboard</p>
付記
三菱化学の高下常務は9日の事業説明会後、記者団に対し、「旭化成と再編について検討している」と語った。
水島のいずれかのエチレン生産設備を停止してエチレンの相互供給を検討すると見られる。
集中事業として、C4ケミカルとポリカーボネートを挙げた。
C4ケミカル:1,4-ブタンジオール→PTMG→(ポリウレタン繊維)
・浙江省寧波でのPTMG 2.5 万トン計画 予定通り2009年3Q完成
・ブタジエン新製法の確立
C4留分からの抽出に加え、残りのブテン(FCCからのブテンも)からのブタジエン製法
・GS PLA(コハク酸と1,4-BGの共重合ポリエステル)向け原料供給ポリカーボネート及び原料ビスフェノールA
・黒崎 2010年4月スタート
溶融法PC、現行20千トンに加え、2期60千トン
原料ジフェニルカーボネート 100千トン(うち50千トン 中国JVへ供給)
・Sinopec とのJV(北京) 2010年2Qスタート
BPA 150千トン(自消及び外販)
溶融法 PC 60千トン
テレフタル酸は徹底したコスト削減とアライアンスを検討する。
インド、インドネシア、中国では海外企業との提携による販売・生産体制再構築
コスト競争力(合理化によるコスト削減、不採算工場の撤退検討)
海外Global Head Quarters による購買/販売/技術面での機動力あるマネジメント
資源配分計画を見直す。
設備投資・投融資を重点化により1600億円削減(2008-10年度)
機能商品 2100億円 → 1500億円 ヘルスケア 750 750 化学品 1550 1000 うち700億円は石化の保安・安全・合理化投資 その他 1500 1050 合計 5900 4300 戦略的投資 2500億円 → +α R&D費用 4250億円 → 4050億円 重点化(メリハリ)
七大育成事業は白色LEDとリチウムイオン電池材料に優先配分する。
七大育成事業
白色LED
HEV用リチウムイオン電池材料
自動車用ケミカルコンポーネント
サステイナブルリソース
次世代ディスプレイ
有機太陽電池
個別化医療/創薬支援
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする