マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決

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米司法省は2007年5月、原油を海上のタンカーから陸地の貯蔵施設に石油を移すときに使うマリンホースの販売で国際的な価格カルテルに関与した疑いがあるとして日欧企業の幹部8人を逮捕したと発表した。
逮捕されたのは日本のブリヂストンの1名と英国のコンサルタント、英社の2名、仏社の2名、伊2社の各1名の合計8名。その後追加の逮捕があった。

米司法省は、カルテルに入っていたが自主申告した横浜ゴムの担当者になりすまし、そのメールアドレスを使ってコンサルタントらとやりとりを開始し、その結果開かれた会合で逮捕が行なわれた。

2007/12/18 マリーンホース国際カルテル事件のその後

日本の公取委は2008年2月、マリンホースを巡り国際カルテルを結んでいたとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で英仏伊のメーカー4社とブリヂストンに排除措置命令を出した。ブリヂストンには課徴金納付命令も出された。

2008/2/25 公取委、マリンホース国際カルテルで排除命令

ブリヂストンは2008年2月、マリンホース事業で中南米や東南アジアなどの外国公務員に対する不適切な支払いが少なくとも 1億5千万円あったと発表した。
同社はマリンホース事業からの撤退を明らかにした。

同上 付記

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米司法省は12月10日、ブリヂストン社員が有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を課せられたと発表した。
http://www.usdoj.gov/opa/pr/2008/December/08-at-1084.html

カルテルへの参加のほか、ラテンアメリカその他で公務員に不適切な支払いをした連邦海外腐敗行為防止法FCPA)違反でも訴えられていた。FCPA違反は彼のみ。

これで、個人としての結審は9人目となる。あと、2が残っている。

判決は以下の通りで、いずれも長期の禁固刑となった。
なお、A、B、Cの3人はいずれも英国で同期間の禁固刑を受けており、米国での禁固刑は免除となる。

    禁固 罰金
Dunlop Oil & Marine A  24 month $100,000
B 20 months $ 75,000
PW Consulting (Oil & Marine) C 30 months $100,000
Manuli Rubber Industries SpA D 14 months $ 75,000
E 12 months and one day $ 20,000
Trelleborg Industrie S.A.S F 14 months $ 75,000
G 14 months  $100,000
Parker ITR S.r.l. H six months 自宅監禁 $ 20,000
Bridgestone I two years $ 80,000

企業としては、Dunlop Oil & Marine$4.54 millionManuli Rubber Industries $2 million の罰金を課せられている。

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カルテル容疑で日本人が米国で禁固刑に服するのは、これが2人目。

これまで何人もの人が米国で起訴されているが、日本在住の場合には犯罪人引渡し条約が適用されず、時効の中断の状況のままである。(米国や米国との犯罪人引渡し条約が適用される国に入国すれば逮捕されることとなる)

今回は現地で逮捕されたため、逃れられなかった。

1人目はダイセルの若い担当者。
防カビ剤のソルビン酸価格カルテルで、ダイセル、上野製薬、日本合成の3社の役員等が起訴されたが、チッソ(免責)の提出した詳細情報のためにダイセルの若い担当者が起訴された。
彼の場合は今後一切、海外に行けないのでは仕事にならないため、自ら渡米し、3ヶ月の禁固刑に服した。

2006/2/16  独禁法改正 


* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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