宇部興産は12月18日、タイのPTTとの間で、カプロラクタム、合成ゴムなど化学事業についてタイにおける共同事業化を検討する覚書を締結したと発表した。
豊富な化学原料を持ち、川下製品への進出によりチェーンの強化を図っているPTTと、原料の確実な確保とタイでのさらなる事業拡大を行いたい宇部興産のニーズが一致したもので、宇部興産が既にタイに拠点を持つカプロラクタム・ナイロン・合成ゴムに限らず、幅広い化学事業を対象としてタイでの事業化の検討を行う。
宇部興産のタイでの事業は以下の通り。
事業 | カプロラクタム | ナイロン | 合成ゴム | ファインケミカル |
社名 | Thai Caprolactam | UBE Nylon (Thailand) | Thai Synthetic Rubbers | UBE Fine Chemicals (Asia) |
出資 | 宇部 91%、 丸紅 7%、その他 2% |
宇部 100% | 宇部 73.1%、 台湾(台湾合成ゴム)13%、 丸紅 13%、その他 0.9% |
宇部 100% |
能力 | カプロラクタム:110千トン 硫安:460千トン |
ナイロン6:25千トン (50千トン増設決定) |
ポリブタジエン:72千トン | 1,6へキサンジオール:6千トン (1,5ペンタンジオール含む) |
他に、UBE Technical Center (Asia)〔UBE Nylon (Thailand) 100%〕
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宇部興産はカプロラクタムとナイロン樹脂は日本・タイ・スペインの三極体制で生産、世界のビッグ3に数えられてる。
2006/5/18 ナイロンと原料カプロラクタム業界
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PTTは、1978年にタイ工業省傘下に設立された政府全額出資の国営企業を前身とし、2001年に上場、現在の社名となった。
タイにおける最大の民間会社で、天然ガス・石油関連を主なビジネスとし、天然ガス開発(PTT Exploration and Production Public Co., Ltd.)、芳香族系石油化学及び石油精製(PTT Aromatics and Refining Public Co., Ltd.)、オレフィン系石油化学(PTT Chemical Public Co., Ltd.)などの事業を、関連会社を通じて展開している。
タイの石油化学は、PTTグループ、サイアムセメントグループと、TPI グループがあったが、2006年にTPIの創始者が追放された。
TPI は社名をIRPC Public Company と改称、PTTが31.5% を所有し、関係会社としている。
(宇部興産のThai Caprolactam は当初、TPI グループに属していた。)
この結果、タイの石油化学業界はPTTとサイアムセメントグループの二大勢力に分かれる。
2006/6/8 タイの石油化学の現状
2006/10/6 タイで年産100万トンエチレン建設
同社のオレフィン系石油化学は以下の各社から成る。
1)PTT Chemical Public Company Limited (PTTCH)
2005年にオレフィンメーカーのNPCとTOCが合併
オレフィン、HDPE
100%子会社のPTTPEがエチレン100万トン、LDPE40万トン(メタロセン触媒)を建設中。
2) IRPC Public Company Limited
旧TPI
PTTが31.5%保有
オレフィン、芳香族、HDPE、PP、ABS、EPS、PS、石油製品
3) HMC Polymers Company Limited
Basell とのJV
PP
4) PTT Phenol Company Limited
5) PTT Asahi Chemical Company Limited
旭化成とのJV
AN、MMA (2010年スタート)
2006/4/13 MMA事業の拡大
6) その他
三菱化学は、2008年3月31日にタイの全額出資子会社のHMT Polystyrene を解散することを発表した。
HMT社は、PS 2系列合計9万トンの生産能力を有している。PTTPEの子会社 Thai Styrenics Co., Ltd. がこの製造設備を買収した。
芳香族系石油化学及び石油精製のPTT Aromatics and Refining Public Co., Ltd.は、Aromatics (Thailand) Public Company とRayong Refinery Public Company が統合したもの。
芳香族系製品の能力は1189千トンとなっている。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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