医薬品卸 1、2位 合併取り止め

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医薬品卸1位のメディセオ・パルタックホールディングスと2位のアルフレッサホールディングスは2009年4月1日の合併の基本合意書を締結していたが、1月9日に合併基本合意書の解約を発表した。

公正取引委員会への事前相談を行っていたが、公取委から本合併に関して第2次審査に移行するとの方針が示された。
これにより合併の延期が必要となることが予想され、その場合、各施策に遅れが生じ、統合効果を早期に実現することが困難になり、収益面で大きなリスクを抱えることも想定されると判断した。

合併新会社は医療用医薬品卸の分野で4-5割(首都圏や近畿など一部地域ではシェアが6割程度)のシェアを占める。また大衆薬卸の分野でも全国シェアは6割超になる。
公取委は大手2社の合併で寡占度が圧倒的な水準にまで高まることに難色を示し、一部事業の売却などを求めた模様。

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両社は2008年10月10日に、両社が対等の精神に基づき合併する基本合意書を締結した。

以下の背景のもとで、さらなる効率化を推進し、国民の健康な生活に貢献するためには、経営統合が最良の選択であると判断した。

近年、より質の高い安定的な医療の提供が望まれる一方、医療費増大と健康保険財政逼迫に対して、政府は医療費適正化の政策を推進している。
全国どこへでも医薬品を安定供給するという「ユニバーサルサービスの提供」、医薬品の特質から求められる「トレーサビリティの確保」といった社会的な要請の高まりから、物流拠点、流通網、ITシステム等に関する事業基盤整備・拡充のための設備投資、システム投資の必要に迫られている。
一般用医薬品については、改正薬事法の施行にともない、一部の製品がスーパーマーケット、コンビニエンスストア等での販売が可能となり、競争の激化が予想される。

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過去数年、医薬品卸業界はM&Aを重ねてきており、2社にスズケン、東邦薬品を加えた四強体制が構築されている。

医薬品・大衆薬・日用品卸の業界順位
社名(主な取扱い商品)         2008/3売上高
メディセオ・パルタックHD(医薬品・日用品) 2兆,2549億円
アルフレッサHD(医薬品) 1兆7695億円
スズケン(医薬品) 1兆5865億円
東邦薬品(医薬品)   8054億円

 

各社の歴史は以下の通り。

メディセオ・パルタックHD (Mediceo Paltac Holding)

メディセオ・パルタックは2008年に小林製薬子会社の一般用医薬品大衆薬卸最大手、コバショウを完全子会社にし、パルタックと合併させた。
これにより、医療用医薬品に加え大衆薬、日用品の分野でも首位となる巨大卸となった。

アルフレッサ HD (Alfresa Holdings)

1998 日本商事と昭和薬品が合併し、アズウェルとなる。
2003 アズウェルと福神が共同持株会社「アルフレッサ ホールディングス」を設立

卸売事業   アルフレッサ
四国アルフレッサ
成和産業
明祥
恒和薬品
安藤
小田島
アルフレッサ日建産業
アルフレッサ ピップトウキョウ
製造事業 アルフレッサ ファーマ
青島耐絲克医材有限公司
その他事業 日商物流サービス

* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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