アブダビ石油の油田権益 20年延長へ

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アラブ首長国連邦(UAE)アブダビのユセフ・オメール国営石油会社総裁は、2012年に45年間の期限を迎えるコスモ石油の油田権益について20年の更新を認めることを明らかにした。最高石油評議会がアブダビ石油の権益更新を承認している。

権益更新が決まったのは、コスモ石油子会社のアブダビ石油が単独で権益を保有し1973年から操業しているアブダビ沖合のムバラス油田。

同社の生産量は日量18千バレル程度で、処理設備は同25千バレルの能力があるため、この水準まで生産量を増やすことができる新鉱区も与える方向で検討しているという。

また、アブダビでは国際石油開発帝石子会社のジャパン石油開発も2018年に権益期限を迎えるが、オメール総裁は「まだ時間があるが、大丈夫ではないか」と楽観的な見方を示した。

アブダビでの日本企業の石油開発の詳細については
    
2008/1/8 アブダビの石油権益は延長か  

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中東では2000年2月にアラビア石油のカフジ油田のサウジの利権協定が終了、2003年1月にはクウェートとの利権協定も終了した。

その後はカフジの操業はサウジとクウェート両国の国営石油会社子会社の共同操業に移行し、アラビア石油はKuwait Gulf Oil との技術サービス契約で、人員を派遣、技術、経営管理等のサービスを提供する形で共同操業に参画してきたが、この契約の更新が出来ず、2008年1月4日、アラビア石油は撤退した。

2008/1/5 アラビア石油、カフジ撤退

このため、ムバラス油田(期限 2012年)を初めとして順次期限がくるアブダビの油田については、日本政府も強力に支援を行ってきた。

2007年12月福田康夫首相は、来日中のムハンマド・アブダビ皇太子と会談したが、その席でアブダビ石油の自主開発油田の契約更新に向け、原油の安定供給について意見交換した。

2008年1月、アブダビ首長国を訪問した甘利明経済産業相は、アブダビ石油公社のユセフ総裁と会談した。
席上、総裁は「油田開発には日本企業の関与継続を求める」と述べ、権益延長・拡大を認める方針を示唆している。

コスモ石油はアブダビのIPICからの出資を受け入れている。

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コスモ石油は2007年9月、UAEのアブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社(IPIC) が約900億円を投じコスモに20%出資し、筆頭株主になると発表した。

IPICは非常勤取締役2人を派遣、コスモが増資で調達する資金の使途など具体的な業務提携内容を両社で詰めるとし、アブダビ政府が同国で計画する石油精製と石油化学の複合事業にコスモが出資することも検討に入った。

IPICはオーストリアのOMV、韓国・現代精油など石油・石油化学関連の海外8社に投資しており、コスモヘの出資は9社目。

コスモ石油は以下の通り述べた。

昭和シェル石油がサウジアラムコから15%の出資を仰いでいるが、サウジアラムコの狙いは原油販売の拡大であるのに対し、コスモとIPICの提携は海外での新たな展開が主眼。

IPICとの上流での協力はアブダビ以外のアジアなどの油田開発が広く対象となる。
コスモが35%の権益をもつ豪州北部の海上鉱区についても、開発段階に進めば一緒にやる候補になる。

今回の提携はムバラス油田権益更新に直接関係はないが、アブダビ政府との関係強化が後押しになるかもしれない。

IPICは以下の通り述べている。

コスモは経営が良好で石油化学や液化石油ガスなど様々な下流部門を持っており、資本参加で油田開発などの上流部門と精製や販売など下流とのインテグレーショ ンを進めたかった。

アブダビは石油やガスの生産能力を拡張する。アブダビ産の原油や天然ガスの安定供給先の確保も出資の狙い。


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