アラバマ州Mobile の巡回裁判所判事はこのたび、Ineos Phenol が1科学者からフェノールの危険廃棄物をリサイクルしタイヤなどの原料とする技術を盗んだという裁判で昨年10月に陪審員が有罪とした判断を支持し、Ineos Phenol に192百万ドルの支払いを命じた。
192百万ドルのうち、25百万ドルはこれまでの被害に対するもの、残り167百万ドルは今後2025年までの被害に対するもの。
Mobile にあるDegussa子会社の元社長が2006年に訴えたもので、2001年にIneosがDegussaから買収したPHENOLCHEMIE が彼のアイディアを勝手に特許にしたとするもの。2004年に自分のアイディアがEUや米国で特許となって使われていることが分かったという。
特許の発明者として5人がリストされており、そのうち4人が生存しているが、全員が自分のアイディアではなく、誰のアイディアか知らないとしているという。
Ineos Phenol はこれを否定しており、控訴する。
ーーー
PHENOLCHEMIEは1952年に設立され、Gladbeck(ドイツ)、Antwerp (ベルギー)にフェノール工場を建設した。
1994年にHulsが全株式を取得した。(1998年にDegussa とHuls が合併して Degussa-Hulsとなり、2007年に改組し、Evonik に改称した。)
2000年にMobile工場をスタート。
2001年、IneosがPHENOLCHEMIEを買収し、Ineos Phenol と改称した。
現在のフェノール能力は以下の通り。
Gladbeck 工場 650 千トン
Antwerp 工場 500 千トン
Mobile 工場 540 千トン
同社はまた、2005年にフェノール原料のキュメン工場を買収している。
Port Arthur 工場 500 千トン (Chevron Phillips から)
Marl 工場 250 千トン (BPから)
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする