エクソンモービル、炭素税を容認

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Exxon Mobil の会長兼CEOの Rex W. Tillerson 1月8日、ウッドロウ・ウイルソン国際学術センターで「Strengthening global energy security」と題するスピーチを行った。

スピーチ:http://www.exxonmobil.com/Corporate/news_speeches_20090108_rwt.aspx

この中で、温暖化ガス削減対策として、オバマ次期政権が検討しているとされる排出量取引制度(cap-and-trade systemよりも炭素税(carbon taxの方が優れているという見解を示した。

石油業界はこれまで炭素税に反対していた。

日本でも環境省が「環境税」を提案している。

石油連盟はこれに反対し、「増税なき温暖化対策を目指すべき」としている。
   http://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/file/2004/20041117.pdf 

「化学産業団体・地球温暖化対策協議会」(日本化学工業協会、石油化学工業協会、日本ソーダ工業会、塩ビ工業・環境協会、日本化学繊維協会)や日本鉄鋼連盟なども温暖化対策税の導入に反対している。

スピーチの内容は以下の通り。

現在の経済危機のなか、直近の経済成長を図るのは必要だが、同時に長期的に経済成長を維持するというチャレンジも必要である。
   
エネルギー面では多面的な問題にチャレンジする必要がある。
   
特に開発途上国の経済発展に伴い、エネルギー需要は急増している。
  このため採算の取れる方法でより多くのエネルギーを確保する必要がある。
    代替エネルギーの開発、これまで採掘が難しかった場所での採掘のための新技術・投資資金・他国との協力など
  また、エネルギー効率を高めることも必要。
   
エネルギー需要の増加に伴い、温室効果ガス排出が増加する。
  膨大なエネルギー需要増加への対応と温室効果ガス対策という「双子のチャレンジ」が必要
   
①新しいエネルギーの供給、②エネルギー効率、③温暖化対策を総合した長期戦略が必要
   
①については、米国内に大量にあるエネルギー資源を探査、採掘、生産、輸送する技術を持っている。
   たとえば地下深くの岩石層のなかに閉じ込められている天然ガスを経済的に取り出す技術
   これまでの船よりも80%増しのLNGの輸送が可能なQ-Max船(カタール石油と共同開発)
   
②についても、エクソンは新世代自動車向けの新しい省エネ技術を開発している。
   新しいエンジン技術(Homogeneous Charge Compression Ignition
   タイヤメーカーとの共同開発によるタイヤのライニング技術
   リチュウムイオン バッテリー
   水素燃料
   
温室効果ガス排出量低減への総合対策が必要で、対策はイノベーションや競争を阻害したり、勝者敗者をつくって市場を不安定にするものであってはいけない。
   
排出権取引(cap-and-trade system)には多くの問題がある。
   無駄な費用が掛かり、複雑
   取引のための新しいインフラが必要で、新しい排出権の"Wall Street"のブローカーが儲けるだけ
   検証・求償のための組織が必要で、企業や消費者のコストとなる。
   
代替案として炭素税(carbon tax)がある。
   これは排出権取引より、もっと直接的で、透明で、有効であり、コストも少なく複雑でない。容易に実行可能である。
   企業の投資から消費者の製品選択まで経済面でのあらゆる意思決定において、カーボンのコストを反映する最も有効な方法である。
   炭素税賦課と同時に他の費用や税金を減らすことにより税収中立にできる。(するべきである)
 

 全ての国が排出量削減に責任をもつ統一基準として最適


* 総合目次、項目別目次は
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


   

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