ボリビアの Morales 大統領は1月23日、BP系のPan American Energyが保有する天然ガス開発企業
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Pan American Energy はアルゼンチン法人で、BPが60%、アルゼンチンのBRIDASが40%を所有している。
Chacoは 1990年代に民営化され、現在は Pan American Energy が51%、ボリビアの国営企業Yacimientos Petroliferos Fiscales Bolivianos (YPFB)が49%所有している。
Morales 大統領は昨年、取締役派遣を目指し、 Pan American Energy に対し、YPFBに51%を与えるよう指示したが、交渉は決裂していた。国有化によりYPFBが99%、一般投資家が1%となる。
今回の措置は同大統領が進めるエネルギー資源の国家管理策の一環で、これですべての外資系ガス事業が国営石油会社の傘下に入る。
Chaco はボリビアで天然ガス埋蔵量ベースで4番目の会社で、埋蔵量の4.9%を占めている。
同国では1月25日、政府の権限拡充や先住民の権利拡大などをうたった憲法改正の是非を問う国民投票を予定しており、今回の国有化宣言は改憲の支持票を掘り起こす狙いがあるとみられている。野党関係者は今回の国有化を「国民投票を有利にする目的だ」と非難している。
ボリビアは先住民が約6割を占め、モラレス氏は同国初の先住民出身の大統領。
一方、Pan American Energy はあらゆる手段で会社の利益を守るとの声明を発表した。国際仲裁も考慮している。
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ボリビアの天然ガス埋蔵量は南米ではベネズエラに次いで大きい。
1997年、当時のGonzalo Sánchez de Lozada 大統領が退任直前に国営石油公社の民営化を半ば強行的に行なった。
2006年5月1日、 Morales 大統領は大統領最高指令を発し、これを逆転させ、天然ガス資源の再国有化を宣言した。
外資系石油会社(ブラジルのPetrobras、スペインのRepsol、フランスのTotal を含むブラジル、英国、スペイン、米国各2社、およびフランス、アルゼンチン各1社)はボリビア政府との新契約の交渉に臨み、新契約に同意するか撤退するかの選択期限の10月末に、新契約に調印した。
ボリビアの国営企業 YPFB が国内資源を所有し、各社が生産物を販売することとなり、従来より高い率のロイヤルティと税金を支払うというもの。
この時、YPFBはChacoの49%を取得した。
Petrobras、Repsol、Total の3社で見つかっている天然ガスの埋蔵量の 84%を占める。
Morales 大統領が指摘するように、「誰一人追放することも、なにひとつ財産を没収することも、一切の補償金を支払うこともなく」実施された。
事業条件と税率の大幅な変更にもかかわらず、撤退を決める企業は1社もなかった。
大統領は昨年、Shell のパイプライン会社 Transredes も国有化している。
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1月25日、新憲法案の是非を問う国民投票が実施され、承認された。
新憲法では、スペイン語のほかに先住民言語も公用語と規定したほか、下院の議席に先住民枠を新設するなどした。
コカインの原料にもなるコカの葉栽培を伝統文化として明記した。
また、土地所有面積に上限を設定し、非利用地は国が接収できると規定した。
モラレス政権は先住民を中心とした貧困層への土地分配を目指している。
* 総合目次、項目別目次は
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