三井化学は1月30日、2009年3月期の業績予想の修正と、緊急対策を発表した。
営業利益は-250億円、当期純利益は-130億円で、前年実績比ではそれぞれ、1,022億円、378億円の減益となる。
第1~第3四半期の営業損益の合計が120億円の黒字に対し、第4四半期には-370億円と激減する。
2009年3月期業績予想 (単位:億円)
今回予想 (2009/1/30) |
前回予想 (2008/10/31) |
差異 | 前期実績 | 差異 | |
売上高 | 14500 | 18800 | -4300 | 17867 | -3367 |
営業利益 | -250 | 450 | -700 | 772 | -1022 |
経常利益 | -300 | 480 | -780 | 661 | -961 |
当期純利益 | -130 | 220 | -350 | 248 | -378 |
年間配当 | 9.00円 | 13.00円 | -4.00円 | 12.00円 | -3.00円 |
セグメント別営業損益(単位:億円)
今回予想 (2009/1/30) |
前回予想 (2008/10/31) |
差異 | 前期実績 | 差異 | 前期比 内訳 | |||
数量差 | 交易条件 | 固定費他 | ||||||
機能材料 | -60 | 190 | -250 | 359 | -419 | -240 | -75 | -104 |
先端化学品 | 80 | 90 | -10 | 108 | -28 | 2 | -6 | -24 |
基礎化学品 | -210 | 220 | -430 | 334 | -544 | -408 | -97 | -39 |
その他 | -60 | -50 | -10 | -29 | -31 | -20 | -15 | 4 |
合 計 | -250 | 450 | -700 | 772 | -1,022 | -666 | -193 | -163 |
2009年1~3月については、
為替レートは90円/$(通期では100円/$)
国産ナフサ価格は26,000円/kl(通期 58,800円/kl)
を前提としている。
原料価格転嫁不能の影響はあるが、後入先出法を採用しているため前期末在庫の影響は少なく、数量差(販売減、減産)の影響が大きい。
第4四半期の営業損益は、機能材料が-158億円、基礎化学品が-217億円、全体で-370億円となっている。
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この業績悪化を受け、同社では下記の緊急対策を実施する。
(1)役員の報酬減額
2009年2月より業績回復の見通しが立つまでの間、役員賞与返上、報酬減額で年間総報酬を20~30% 減額
(2)管理社員の報酬減額
2009年4月より業績回復の見通しが立つまでの間、賞与・報酬減額で年間総報酬を8% 減額
(3)あらゆるコスト削減策の強化
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三井化学は同時に、市原工場のEOGプラントとアニリンプラントの停止を発表した。
1)EOG
ポリエステル繊維や不凍液の原料となるエチレングリコール(EG)は、中東及びアジアにおけるプラントの大幅な新増設により、今後、更に供給過剰となることが懸念される。
同社は市原工場と大阪工場にEOとEGのプラントを有しているが、2009年11月をもって、市原のEOGプラント(EO:119千トン/年)を停止する。
EOGプラント停止による余剰エチレン8万トン/年のうち、エチレン4万トン/年を使用し、市原工場内に1-ヘキセンプラント(30千トン/年)を新設する。(投資額:75億円、2010年12月営業運転開始)
また、子会社のプライムポリマーが市原工場のエボリューの増強(24→30万トン/年)を検討しており、これによりエチレンの残り4万トン/年を消費する予定。
2)アニリン
三井化学は市原工場でフェノールの誘導品としてアニリンを生産している(能力66千トン/年)が、主用途であるMDI分野で自製化が進み、販売数量が激減したため、2009年3月にプラントを停止、事業から撤退する。
100%子会社の三井化学ポリウレタンが大牟田工場でMDI原料用として稼動しているアニリンプラントは、今後も稼動を継続させる。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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