国際司法裁、黒海のルーマニア・ウクライナ領海紛争で判決

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オランダ・ハーグの国際司法裁判所は2月3日、海底ガス田が見つかった黒海北西部の領海線画定をめぐるルーマニアとウクライナ間の40年間の紛争で、係争海域の約8割をルーマニア領海と認定する判決を言い渡した。15人の判事の満場一致で決まった。

両国は判決に従うことを事前に約束している。

判決 http://www.icj-cij.org/docket/files/132/14987.pdf?PHPSESSID=4783e0ba313e1b907c6dc64a70122cab

ガス田開発には世界的な大企業が相次ぎ名乗りを上げており、ウクライナ政府代表も「資源開発の環境が整い、両国の利益となる」と歓迎した。

問題となったのは国境の約40キロ沖にあるウクライナ領の無人島、ズメイヌイ島(英語名SerpentsIsland)。常時海面上にあり、周囲 2km、面積 0.17平方km、無人島で、ローマ神話のアキレスの墓があると伝えられている。

19世紀からルーマニアが領有、1948年に旧ソ連が占領した歴史的背景もある。

ウクライナはSerpents' Island は自国の領土で、これをベースに領域を主張した。ルーマニアは小さすぎて島ではないと主張していた。

判決では先ず、Serpents' Island は岩ではなく、島であり、周囲12海里をウクライナの領土とした。

しかし、経済水域と領土とは異なるとし、経済水域の決定に際しては
Serpents' Island を無視し、海岸線のみで決めた。
海岸線の近くにある一連の島は海岸線の延長とみなすが、
Serpents' Island の場合は離れ過ぎており、海岸線には影響しないとした。

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この判決が日本の東シナ海の境界線の決定になんらかの影響を与えるのかどうか、判決をざっと見ただけでは分からない。
(どなたか分かれば教えてください)

 

付記

外務省は2月6日、国際司法裁判所(ICJ)所長に小和田恒判事が互選で選出されたと発表した。任期は同日から3年間で、日本人がICJ所長に就任するのは初めて。

ICJは国連憲章で1945年に設立が決まった。国連総会と安全保障理事会で選ばれた15人の裁判官(任期9年)が国際法に基づき、国家間の紛争の平和的解決を図る目的で活動している。


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