シノペック、農業廃棄物からエタノール生産

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シノペックは、デンマークの酵素メーカーNovozymes 中国糧油食品(集団)(COFCO) と、農業廃棄物からバイオエタノールを開発する契約を締結した。

トウモロコシ茎葉から第二世代のバイオエタノールを生産する商業ベースのプロセスを開発し、生産から販売までのvalue chain をカバーする。

第二世代:穀物やサトウキビでなく、セルロース(植物繊維)を利用するもの

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Novozymes はデンマークのNovo Nordisk 財団の所有するNovo グループのメンバーで、2000年に酵素部門がNovozymes、ヘルスケア部門がNovo Nordisk となった。

Novozymes は酵素と微生物に関するバイオテクベースの世界のリーダー。遺伝子組換え技術を用いた微生物によって酵素を製造している。
工業用の酵素を売り、酵素市場で44%のシェアを持っている。

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Novozymes は農業廃棄物を第二世代バイオエタノールに変えるのに必要なプロセスと酵素を開発した。

COFCO (China National Cereals, Oil & Foodstuff Corporation) は農産物加工製品のメーカーで、COFCO Novozymes はこれまでの2年間、提携しており、COFCO は小規模パイロットプラントを動かしている。

この両社に3万のガソリンスタンドを有し、中国の精製石油製品のシェアの60%を占めるSinopec が加わった。石油製品精製、販売面での知識で貢献する。

今後10年で中国の自動車は飛躍的に増加するとみられており、中国政府は自動車燃料の需要増大に備え、既存技術でのバイオ燃料生産を増加させるとともに、第二世代バイオ燃料を開発するというバイオエネルギー開発戦略を立てている。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>

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日本では2月9日、新日本石油、三菱重工業、トヨタ自動車、鹿島建設、サッポロエンジニアリング、東レの社が、セルロース系バイオエタノールの一貫製造技術に関する研究開発を開始するため、「バイオエタノール革新技術研究組合」を設立すると発表した。

食料と競合しないセルロース系バイオエタノール製造の各工程における要素技術を保有する6社が、経済的かつ多量、安定的な製造技術の確立に向けた技術研究組合を共同して設立することを決定したもの。

原油と競合できる価格(40円/L)で、20万kL/年規模を生産できる製造プロセスの技術を2015年までに確立することを最終目標とし、東京大学との共同研究や、農林水産関係研究機関、秋田県農林水産技術センター総合食品研究所、北海道大学等との連携により、画期的な革新技術の確立を目指す。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

20万KLクラスの一貫プラントは、植物を生産する敷地を含めて山手線内と同程度の面積が必要になるので、海外に建設することになるとみられている。

製造プロセスは以下の通り。
1)穀物などの食料を生産できない耕作不適地を探して短期間でも収穫量が多いエネルギー植物を生産
2)これらの植物を収穫/運搬/貯蔵
3)植物を細かく砕き、熱/圧力をかけながら水で煮る前処理
4)前処理した植物のセルロースを酵素反応によって糖に分解
5)この糖から酵母菌を使った醸造を行うことでアルコールを作る
6)アルコールに含まれる水分を除去

6社の担当分野は以下の通り。
 鹿島建設:土壌調査などによる海外を含めた耕作不適地の選定、植物の収穫/運搬/貯蔵に関する技術開発
 トヨタ:耕作不適地の土壌、天候、水利などにあわせた収穫量の高いエネルギー植物の選定、品種改良
 三菱重工業:酵素による糖化が容易になるような植物の前処理技術
 東レ:前処理した植物に含まれるセルロースを酵素で糖化する技術
 サッポロエンジニアリング:セルロース由来の糖を高効率で発酵させる技術と、アル コールから水分を除去する技術
 新日本石油:最適化した一貫プロセスによる製造技術の開発


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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