アステラス製薬は本年1月、CV Therapeutics, Inc (CVTX) に対し、1株当たり16ドル、総額11億ドルでの敵対的買収を提案したが、ギリアド(Gilead Sciences, Inc.) が3月12日、1株当たり20ドル、総額14億ドルで同社を買収する契約を締結したと発表した。
アステラス側は対応を検討中としているが、諦めるのではないかとの観測がある。
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付記
アステラス製薬は3月16日、CVTX買収提案の終結を発表した。
Gilead Sciences による買収価格の水準は高過ぎると判断した。
CVTXの概要は以下の通り。
会社名:CV Therapeutics, Inc.
代表者:Louis G. Lange, MD, PhD
所在地:米国カリフォルニア州パロアルト
設 立 :1990年
主な事業内容:心疾患系医薬品の研究開発、販売
2008年度の業績:売上高154百万ドル(前年83百万ドル)
純損益:-99百万ドル(前年 -181百万ドル)
アステラス製薬は狭心症治療薬 Ranexa をはじめとする CVTXの製品ポートフォリオが、同社の米国での病院市場向け及び循環器領域のビジネスを補完することを期待し、2008年11月に買収提案を行った。
Ranexa の2008年の売上高は109百万ドルだが、最高 500百万ドルになると期待されている。
また、アステラス製薬はCVTXから心機能検査補助薬Lexiscan の北米における共同開発及び独占的販売のライセンス契約を締結し、2008年6月に米国で発売した。北米以外はCVTXが権利を有する。他方、アステラス製薬の移植用免疫抑制剤 Prograf が2008年4月に米国で特許が切れ、頻尿改善剤のHarnal も本年10月に特許が切れる。更に日本で販売するファイザーのコレステロール薬のLipitor も2011年6月に特許が切れるため、CVTXの買収に動いた。
しかし、CVTXの取締役会は提案を拒否する旨の通知を行い、その後は実質的な協議を拒んでいる。
このため、アステラスは本年1月に敵対的買収を決め、CVTXの取締役会に対して、発行済みの全ての普通株式を1株あたり16ドルの現金を対価として取得する提案を行った。
この価格は前日の終値に対して41%、直近60日間の終値の平均値に対して69%のプレミアムとなる。
CVTXの取締役会は、2月20日付けで、アステラスの提案は同社の価値を著しく低く評価しているとして、本提案を拒否する旨の公表を行ったため、アステラス製薬は2月27日に公開買付けを決定した。
更に3月9日には、アステラス製薬は、CVTXの2009年定時株主総会において、任期が満了する2取締役(会長兼CEOと他1名)の代わりの2名の取締役候補を推薦するとともに、任期途中の残る4名の取締役の解任について株主提案を提案する意向を固めたと発表した。
CVTX取締役会が同社と真摯に協議することなく、同社の買収提案を拒否し続けていることから、株式公開買付けを開始するとともに、これに賛成する取締役会の選任を同社株主に提案するもの。
これに対し、今回、Gilead Sciences がWhite Knight として登場した。
CVTXの取締役会は満場一致で Gilead Sciences による1株$20.00 での買収に賛成し、株主に対してTOBに応じるよう推奨した。
買収完了後はCVTXはGilead Sciences の100%子会社となる。
これを受け、CVTXの株価は高騰し、一時はGilead の買値を上回る21.15ドルまで上がった。
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Gilead Sciencesは1987年にカリフォルニアに設立された製薬会社で医療用医薬品の創薬から開発、市販までを行なっている。
同社の主な活動分野は、HIV/AIDS、肝臓病、心臓血管や呼吸異常などで、米国最大のAIDS治療薬メーカー。
2008年の売上高は53億ドルを超える。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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