Merck & Co., Inc. は3月9日、Schering-Plough Corporation と合併することで合意したと発表した。
存続会社名はMerckで、Schering-Ploughの株主には1株についてMerck株 0.5767 株と現金 $10.50 が支払われる。
3月6日の株価ではSchering-Plough 買収額は411億ドルとなる。同日のSchering-Plough 株の株価に対し34%の上乗せである。
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Merck はこのうち、85億ドルを金融機関からの借り入れ、98億ドルを手元資金で賄い、残りは株式交換する。
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現在の金融危機のなかで、多額の借り入れが行えるのは手元資金の多い医薬業界だけである。
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株式交換の結果、Merck の株主は統合新会社の約68%を、Schering-Plough の株主は32%を所有することとなる。
統合後の新会社は臨床試験段階の候補製品が倍増し、18品目になるとしており、新薬開発を急ぎ、特許切れに対応する。
米国外での販売に強みを持つSchering-Plough 買収で、成長率の高い新興国を含め、グローバル展開を図る。
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Schering-Plough の売上高の約70%は米国外で、そのうち新興国からの売り上げは20億ドル以上となっている。
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本年1月には世界第一位の医薬会社 Pfizer がWyeth を680億ドルで買収すると発表している。
2009/1/27 Pfizer、Wyeth を買収
Merck とSchering-Plough が合併すると、Pfizer/Wyeth に次ぐ世界第二位となる。
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医薬品売上高ランキング 07年実績、単位百万ドル、 <p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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*1 2007年3月12日、Schering-Plough社は、オランダの化学メーカー Akzo Nobel の医薬品部門 Organon BioSciences N.V. を110億ユーロ(145億ドル)で買収すると発表した。
*2 Merck とSchering-Ploughは生活習慣病の治療薬の共同出資会社 Merck/Schering-Plough Pharmaceuticals を持っている。
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この買収は逆三角合併(reverse merger)の形式を取り、統合会社はMerck の名前だが、Schering-Plough が存続会社となる。
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米国では原則として株式対価の買収は三角合併である。手続き的に被買収会社が存続会社となる逆三角合併が多い。
一つの問題は、Schering-Plough が販売しているJohnson
& Johnson の抗TNFa治療薬
Remicade (日本では田辺三菱製薬が販売)の扱いである。契約ではSchering-Plough
が買収されるなど、支配権を失った場合には権利を失うこととなっている。
Merck とSchering-Plough
はSchering-Plough
が存続会社のため影響なしとしているが、今後問題となろう。
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Johnson & Johnson が逆に、より魅力的な条件を提示することでSchering-Plough の買収を図るのではとの観測もある。
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Merck とSchering-Plough はともにドイツ企業の米国子会社であったが、第一次世界大戦で敵国企業として接収され、米国企業となった。
現在は完全に別会社となっている。
Merck KGaA (ドイツ)とMerck & Co., Inc. (米国)
Schering AG(ドイツ)とSchering-Plough(米国)2006/3/23 2つのMerck社
今回ダウに買収されるRohm and Haas も同様である。
面白いことに2006年にドイツのMerck KGaA がドイツのSchering AG に対して買収の提案をしている。
Schering AG は価格が安すぎるとして、これを拒否、直後にBayer が買収提案して、Schering AG 役員会もこれを歓迎した。
Bayer はTOBをかけたが、Merck KGaAが株を買い集めていることが判明、すったもんだの末にMerck KGaAが持株をBayer に売却し、BayerによるSchering AG 買収が確定した。
2006/6/12 2つの買収劇
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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