日本GTL技術研究組合に加わる6社は4月16日、新潟市の日産500バーレルのGTL(Gas To Liquids)の実証プラントの建設を完了し、竣工式を行ったと発表した。
今後は2年間の実証運転を行い、商業規模で適用可能な日本独自の技術を確立する。
GTLは、世界に広く存在する天然ガスから、化学反応によってナフサ、灯油、軽油等の石油製品を製造する技術で、石油代替の燃料ソースの確保と多様化を可能にする極めて有効な手段であり、また、GTLによって製造される燃料は、硫黄分や芳香族分などを含まないため、環境に優しいクリーン燃料としても期待されている。
海外企業(Sasol、Shell、ExxonMobil など)はGTL技術の商業化を先行しているが、他社へ技術供与は行わない方針のため、独自技術の開発が必要となる。
Sasol:カタールのOryx (34千B/D)、Oryx Ⅱ(74千B/D) が稼動中
2006/6/22 南ア・サソールの石炭液化技術 に記載
Shell:マレーシア Bintulu (15千B/D)が稼動中、カタール Pearl (140千B/D)は設計段階ExxonMobil:カタール計画取り止め
2006/2/27 ExxonMobil、カタールのGTL計画取り止めConocoPhillips、BP:いずれも実証段階
国際石油開発帝石、新日本石油、石油資源開発、コスモ石油、新日鉄エンジニアリング、千代田化工建設の6社は2006年10月25日に日本GTL技術研究組合を設立し、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で実証研究を行なってきた。
(これに先立ち、北海道・勇払でパイロットスケール 7B/D のテストを行った)
実証研究の概要 | |
(1) | 目的: 商業規模の前段となる500B/D規模の実証プラントでGTL技術の実証、ならびに商業化へ向けたスケールアップの検討等を行い、商業規模(2万B/D)で技術的・経済的に競争力をもつGTL技術を開発する。 |
(2) | 研究体制:JOGMECと日本GTL技術研究組合の共同研究 |
(3) | 研究予算:総事業費 約360億円(補助金約240億円、日本GTL組合の負担額 約120億円*) * 国際石油開発、新日本石油、石油資源開発 各約30億円、残り3社 各約10億円 |
(4) | 期間:2006~2010年度 (5年間) |
- 実証プラントの概要
(1)所在地:新潟市北区太郎代2881-45 - (2)プラント能力:日量500バーレル(日量80キロリットル)
- (3)主要プロセス設備
- 合成ガス製造設備:天然ガスを合成ガス(H2とCO)に転換。
FT(Fischer-Tropsch)合成設備:H2とCOから炭化水素を合成する反応で液体燃料粗油を合成。
アップグレーディング設備(水素化処理設備):液体燃料粗油からナフサ、灯油、軽油等を製造。
今回のプロセスは、炭酸ガスを含む天然ガスをそのまま利用することが可能な、世界初の画期的な技術である。
天然ガスにはCO2を20%含有するため、従来プロセスではCO2を除去し、その上で、合成ガス製造のため、別途酸素を製造して供給する必要があった。このプロセスはCO2除去不要で、酸素製造プラント不要のため、CO2を含むために開発されずに放置されたガス田の有効活用が可能となる。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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