Invista、DuPont 時代の安全・環境面の違反で当局と和解

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Invista は4月13日、DuPont 時代の環境面の法令違反に関してEPA、司法省、その他関係当局との間で、連邦裁判所で和解したと発表した。

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Invista はDuPont の繊維部門であったが、2004年に Koch Industries が42億ドルで買収した。

Invistaは2008年3月、DuPont が工場を所有していた際に安全面、環境面で広範かつ重大な違反があったとして8億ドルの補償と懲罰的賠償を求め、マンハッタンの連邦地裁に訴訟をおこした。

これに対してDuPont側は、対象工場で誰一人として負傷しておらず、不当なリスクにさらされたこともないとし、買収後4年も経っての主張は契約上の文言を利用して増強資金を得ようとしているのではないかと非難、根拠のない批判に徹底的に争うとしていた。

2008/4/2 DuPontに8億ドル以上の損害賠償請求

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Invista は買収後に以前のDuPont の7州の12工場で680件以上の違反を見つけた。
同社は既に大部分を是正しており、残りの約50件については今回、対応策が決められた。

残っているものにはClean Air Act programs に関するものがあり、複雑な処理を要し多額の設備投資が必要となる。期限と基準が決められ、州と連邦の当局がチェックする。

過去及び今後の同社の投資は合計で5億ドルに達する。

同社では、今回の和解は同社がこれまでやってきた環境基準に従うための是正策を確認するものであり、新しいオーナーとして以前の持ち主の違反の是正を完了させるものであるとしている。

EPAの報道官は、680以上の違反の圧倒的な部分はDuPont 時代のものだとしている。違反は、大気、水、危険廃棄物、農薬、緊急時の計画と準備などの規則に関連している。

EPAの評価では、Invista による過去及び将来の対策により、有害な大気汚染が年間1万トンはカットされる。その結果、30人の死亡、2000日の病欠、9000件の呼吸器障害が防止されるとみている。

EPAは新しいオーナーに買収した設備の監査を奨励している。
EPAでは今回の和解はこの監査ポリシーでの過去最大のものとしている。

EPAはまた、同社に対して170万ドルの罰金(Economic benefit penalty)を課した。これは買収時点から是正策が取られるまでの間に、違反により得られた利益を取り上げるという趣旨のもの。

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同社は昨年3月にニューヨークの連邦裁判所に DuPont を訴えたが、DuPont がこの訴えを却下するよう求めたのに対し、裁判所は330日、DuPont のこの動議を却下した。裁判は懲罰的賠償要求を含め、今後も続く。

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DuPont はこれまで、違反は一切ないとしていたが、EPAや司法省がInvista の主張を認めたこととなり、裁判で苦しい立場になった。

今回の和解に関しては、DuPont は同社と関係のないこととしている。
DuPont はInvista EPA、司法省が法定で和解したこと、各州の環境当局がInvista を訴えていることは知っている。DuPont はこの和解の当事者でないし、これまでの訴訟で被告として名前が挙がったこともない」としている。

付記

米国EPAは4月20日、DuPont Lucite International Clean Air Act 違反で国に100万ドル、 West Virginia 州に100万ドルの罰金を払うとともに、問題となった硫酸工場を自発的に停止することになったと発表した。

West Virginia 州にある硫酸工場はLucite が所有、DuPont が操業している。
Lucite ICIからMMA事業を買収したが、ICIDuPont MMA事業を取得している)

両社は1996年にClean Air Actで求められている許可を得ずに、また必要な公害防止設備を備えずに、改造を行ったもの。


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