Rabigh Refining and Petrochemical Company (Petro-Rabigh)は4月8日、サウジアラビアのRabighで建設している石油精製・石油化学コンプレックスの基幹設備の一つであるエタンクラッカー設備が、本格的に稼動を開始したと発表した。
本計画については 2006/3/25 ペトロラービグ起工式
エタンクラッカーは年産130万トンのエチレンを生産、EPPE(次世代型ポリエチレン)、LLDPE、HDPE、EGにエチレンを供給する。
なお、ハイオレフィン流動接触分解装置(HOFCC)を稼動させるための、減圧蒸留装置(VDU)や、水素化処理装置(VGOHDT)といった、新規の精製関連設備も、既に稼動準備が整っている。
HOFCC は減圧軽油(VGO)を分解し、年産90 万トンのプロピレン、日産59 千バレルのガソリンを生産する。
プロピレンはPPとPOに使用する。
PP2系列設備のうちの一つは、すでに、輸入プロピレンを原料として、本年2月、試運転を完了している。
なお、POはサウジで初めてで、住友化学の新法(単産法)を採用した。
当初は2008年秋に稼動する予定であったが、同社は2008年9月7日に、98億ドルと見込んでいた総事業費が101億ドルに膨らみ、一部設備の稼動開始が2009年第1四半期にずれ込む可能性があると発表した。
石油精製設備(簿価:2億3千万ドル)は予定通り 2008年10月1日にSaudiAramco からPetroRabigh に全面的に移管された。
製油所の原油はYanbuからタンカーで輸送されている。
エタンは東部のガス田とYanbuを結ぶEast-West Pipelineの原油パイプの1本をエタン用に転用しRabighまでの支線を新設した。
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Petro-Rabigh は2005年9月に住友化学 50%/Saudi Aramco 50%で設立された。
2008年1月に新規株式公開(IPO)を実施した結果、現在の出資は住友化学 37.5%/Saudi Aramco 37.5%/サウジ一般投資家 25%となっている。
同社では「第二期合弁事業案」をサウジ政府当局に申請して、承認を得ている。
Saudi Aramco のCEO のKhalid A. Al-Falih は3月23日、サウジの商工会議所でのスピーチで、第二期計画について間もなく住友化学と覚書を締結すると述べた。
なお、Saudi Aramcoと住友化学がスポンサーとなって PetroRabigh に隣接して、面積は240ヘクタールのプラスチック加工団地 Rabigh Conversion Industrial Park が建設されており、住友化学は東洋インキとの合弁で年産10千トンのPPコンパウンド設備を建設している。
2008/6/27 住友化学、サウジでPPコンパウンドを生産
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