イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

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イラク政府は37年ぶりに油田権益を外資企業に開放し、増産体制を整備して、2013年に原油生産能力を現状の日量250万バレルから460万バレルに引き上げる。

現在、第一次、第二次開放対象が発表され、一次、二次審査で入札資格社が選ばれている。

第一次開放対象は北部の主要油田キルクークや南部の大油田ズベイル、ルメイラなど油田6カ所と、西部のアッカスなど天然ガス田2カ所。

  発見 埋蔵量
(億バレル)
現状
(千b/d)
北ルメイラ油田(Rumaila)
南ルメイラ油田
1953      92
    73
    470
    585
キルクーク油田(Kirkuk) 1927     65     360
西クルナ油田(Qurna) 1973     74     300
ズベイル油田(Zubair) 1949     40     240
ミサン油田群(Missan)
(アブギラブ、ブズルガン、
ジャバルファウキ)
1969
1971
1974
    25     114
バイハッサン油田(Bai Hassan) 1953     23      7.5
アッカス ガス田(Akkas)     7tcf  
マンスーリヤ ガス田(Mansuriyah)     5tcf  

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2008年12月31日に発表された第二次入札対象油ガス田は以下の通り。

  埋蔵量
 
bn bbl
生産能力
 ‘
000 b/d
現状生産量
 ‘
000 b/d
<油田>      
Majnoon(マジヌーン)  8.20  600-800  40-50
West Qurna 2(西クルナ)  13.50   600  na
Halfaya(ハルファーヤ)  4.60  250-600 ** 10-15
East Baghdad(東バグダッド)  0.80  80-350 ** 7
Gharaf(ガラフ)  1.00  100-140  -
Kifl(キフル)  0.21  28  -
West Kifl(西キフル)  *0.18  25  -
Marjan(マルジャン)  *0.15  20  -
Badrah(バドラ)  0.50  70  -
Qayara(カイヤラ)  0.80  80  -
Najmah(ナジマ)  0.85  85  -
Qarmar(カマール)  0.15  20  -
Gilabat(ギラバット)  0.20  30  -
Nauduman(ナウドマン)  0.05   >10  -
<ガス田>      
Kashm al-Ahmar(カシムアルアマール)  1,550 Bcf 150mn cf/d  -
Siba(シバ) 4,000 Bcf 300mn cf/d  -

  * 未確認、 ** パイロット生産

 

2008年10月の一次審査では日本の4社を含む35社が選ばれた。本年第2四半期に第一次開放対象の入札が行われる。

イラク石油省は
20094月1日、年内に実施する油田開発入札に参加できる外国企業9社を追加で発表した。
申請した38社から応札資格を得た。第2次入札から参加できる。
日本からは
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が選ばれている。

入札資格を得たのは次の各社。

  一次審査(2008/10) ニ次審査(2009/4)
日本  新日本石油、国際石油開発帝石、
石油資源開発、三菱商事
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)
米国 AnadarkoChevronConocoPhillipsExxonMobil
HessMarathonOccidental
 
英国 BGBP Cairn Energy
豪州 BHPWoodside  
イタリア EdisonEni  
オランダ Shell  
ドイツ Wintershall  
フランス Total  
ノルウェー StatoilHydro  
スペイン  Repsol   
中国 CNOOCCNPCSinochemSinopec  
韓国 韓国ガス公社Kogas  
インド ONGC Oil India Ltd.
マレーシア Petronas  
インドネシア Pertamina  
ロシア GazpromLukoil RosneftTatneft
デンマーク Maersk  
カナダ Nexen  
トルコ TPAO  
カザフスタン   KazMunaiGas
ベトナム   Petrovietnam
アンゴラ   Sonangol
パキスタン   Pakistan Petroleum

 

新日本石油、国際石油開発帝石および日揮の日本側コンソーシアム3社は、イラクの石油開発等の入札に参加するため、各社会長が本年2月、バグダッドを訪問し、マリキ首相、シャハリスターニ石油大臣他、イラク政府首脳と会見した。マリキ首相はイラク北部のキルクーク油田などの入札に対し、応札を要請した。

ーーー

この中で、韓国の韓国石油公社とSKエナジーが除外された。

韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムは2008年2月14日、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。

コンソーシアムは石油公社 38%、SKエナジー 19%、デソン産業、三千里(サムチョンリ)、ボムア資源開発(各 9.5%)、GSホールディングス、マジュコ通商(各 4.75%)、ユーアイエナジー(5%)などが構成している。

2008/2/20 韓国エネルギーコンソーシアム、イラク油田開発

イラクのシャハリスタニ石油相は4月2日、イラク駐在の河泰允(ハ・テユン)大使に会い、「韓国石油公社やSKエナジーなどの韓国企業がクルド自治政府と締結した油田開発事業は、中央政府との協議を経ずに行われた違法なものだ。そのため両社は今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加できない」と通知した。

イラク政府は昨年の第1回油田開発入札資格審査で両社を排除、今回の第2回審査でもSKエナジーを脱落させた。
現在イラクで入札資格を得ている韓国企業は、クルドでの油田開発に参加していない韓国ガス公社だけ。

本件はコンソーシアムのクルド自治政府との契約当初からイラク政府が問題視していた。

しかし、本年2月にイラクのタラバニ大統領が韓国を訪問した際、イラク南部バスラの油田開発と現地でのインフラ整備を行うために必要な35億5000万ドルを韓国側が投資するという覚書を交わしたことで、一旦は解消するかのように思われた。

しかし、クルド族出身のタラバニ大統領とシーア派でエネルギー相を兼任するジャアファリ首相の考えが異なっていたもの。

イラク側は「クルドとの契約を取り消せば入札への参加を認める」としているが、韓国政府は「取り消すことはできない」との立場。

韓国内では政府があまりにも楽観的かつ早急に事業を進めたとの批判が出ている。韓国政府は現地調査団を派遣し、イラク国内の道路、港湾、石油精製施設の建設など、イラク再建事業への参加拡大を名目にイラク政府との再交渉に臨みたいとしている。


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