三菱化学とシノペックは4月14日、相互の技術、原料、市場における優位性を活かし両社の提携をより一層強化して事業を拡大加速することを目的とする戦略提携パートナー関係を確立するための基本合意に至ったと発表した。
今回の基本合意による提携は共同研究、プロジェクト提携、原料及び製品の供給、工事・物流サービス、技術交流、人材交流等の多分野で行うもので、また、CO2 削減やその有効利用、再生可能エネルギーとしての有機太陽電池などの地球環境関係のテーマにも、両社共同で積極的に取り組むとしている。
両社はこのような将来を見据えた幅広い分野での戦略提携パートナー関係を確立する新しいビジネスモデルを活用して、事業化の加速、高付加価値分野への事業拡大、およびアジアにおける化学産業の今後の発展に貢献することを期待するとしている。
三菱化学とシノペックは、自動車用PPコンパウンド事業では10年以上の合弁事業での協力関係の歴史があり、両社は新たな合弁事業としてビスフェノールA、ポリカーボネート事業の新社設立を現在取り進めている。
自動車用PPコンパウンド事業
会社名:北京聚菱燕塑料有限公司
場所 :北京市、佛山市三水工業区
設立 :1998/10
出資者:三菱化学55%、シノペック燕山石油化工40%、豊田通商5%
能力 :北京市 12,000t/年(当初 3000t/年)+6,000t/年
広東省佛山市 10,000t/年PC樹脂・BPA事業
会社名:未定
場所 :北京市・房山地区 (シノペック燕山石化敷地内)
出資者:PCR Investments Japan Corporation 50%
(三菱化学:80%、三菱エンジニアリングプラスチックス:20%)
シノペック 50%
能力 :PC樹脂 6 万トン
BPA 15 万トン
設立 :手続き中
完成時期:2010年春2008/4/12 三菱化学、中国でビスフェノールAとPCの合弁会社設立申請
なお、三井化学が既に上海でSinopecとのJVでBPAの工場を建設中。
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問題は上記2件以外で、どんな事業でどういう形で提携するかである。
小林社長は「バイオプラスチックや有機太陽電池の共同開発といった環境・エネルギー分野のほか、合成ゴム原料などだ。
今回の提携は石化事業から始め、ライフサイエンスなどはその後に検討する」としている。
「原料ナフサが安く手に入る中国にプラントを持つシノペックは三菱化学の技術をもとに、より製品に近い事業を強化できる。ウィンウィンの関係を築きたい」とする。
シノペックの王天普総裁は「当社は石化製品で汎用品の比率が大きかったが、付加価値の高い機能製品の比率を高めていきたい」とし、「中長期的には創薬やバイオ分野にも興味があり、検討を進めていきたい。三菱化学が持つ省エネ、環境技術にも関心がある」としている。なお、資本提携については「現時点では検討していない」とした。(日本経済新聞)
小林社長発言の「合成ゴム原料」は同社が開発したブテン類からブタジエンを製造する新技術のことと思われる。
同社はブタジエンを原料とする1,4-ブタンジオール製法技術を持っており、1,4-ブタンジオールとその誘導品(C4 ケミカル製品)事業を成長戦略のための集中事業の一つに位置付けている。
浙江省寧波市の大しゃ開発区で同社100%出資のMCC 高新聚合産品寧波有限公司が PTMG 2.5 万トン/年プラントを建設中で、2009年3Qに完成する。2008/12/16 三菱化学、ブタジエンの新規製造技術を開発
付記
三井化学も4月15日にシノペックとの間で協力関係拡大の覚書を締結した。
両社は2006年4月に折半出資により、ビスフェノールA合弁会社「上海中石化三井化工有限公司」を設立し、本年1月に年産12万トンのプラントを稼動し、順調に推移している。
今回、両社が合意した主な内容は、以下の通り。
①フェノール・アセトン、ビスフェノールA及びその誘導品(例えばMIBK)等の協力関係について検討すること
②以下の事項に関し協力の可能性を検討すること
a) 技術交流並びに共同研究開発
b) その他のプロジェクト合弁
c) エンジニアリングサービス
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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