三井化学は4月21日、平成21年3月期の通期の業績予想について、1月30日公表の内容を再修正した。
今回は一般的な経済環境悪化に加え、将来の損益を悲観的にみた繰延税金資産の取崩しの影響が大きい。
連結決算(単位:百万円) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益と経常損益の修正は事業環境及び世界的な経済環境の更なる悪化による。
セグメント別営業利益 (単位:億円)
前回予想 今回予想 差異 機能材 -60 -160 -100 先端化学 80 70 -10 基礎化学 -210 -320 -110 その他 - - - 全社 -60 -50 10 合計 -250 -460 -210
当期純利益は、これに加え、繰延税金資産の取崩しにより多額の税金費用が発生したことなどにより、950億円の赤字と、前回予想比で820億円の大幅減益となった。
同社は税効果会計に係わる会計基準に従って繰延税金資産を計上しているが、当期の業績及び厳しい経営環境を考慮し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、当期末において繰延税金資産を取崩すこととした。
これにより、連結において447億円(単独では391億円)を法人税等調整額に計上する。(当期純損益の減少となる)
「繰延税金資産」とは、企業会計上の費用が税務上の「将来減算一時差異」(当期には税務上の損金と認められないが、将来時点では損金と認められる費用)として課税される場合に、「
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三井化学の主要な繰延税金資産は、退職給付引当金と投資有価証券評価損についての一時差異等である。
投資有価証券評価損は当該有価証券の売却や投資先会社の清算などの時に税務上も損金として扱われる。
繰延税金資産の計上にあたっては、損金と認められる将来時点で、十分な利益が確保される
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今回、同社は当期の業績及び厳しい経営環境を考慮し、それが確実とは言えないと判断したことになる。
石油化学品などの収益回復に時間がかかると判断した。
(実際には、その時点で当該費用を引いても黒字であればその分の税金が減るし、仮に赤字でも赤字の繰越が出来るため、将来的に税金が減る可能性はあるが、保守的に考え、過去に払った「前払税金」ではあるが、当期の損益に反映させる。)
同社は大幅な業績修正に対応し、既に実施中の緊急対策(既発表済)に加え、更なる緊急対策を実施する。
重点事業における事業構造改革、収益構造改善に向けた全社施策で、詳細は5月12日に発表する。
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三菱ケミカルも4月20日、前回(2月4日)発表の損益予想を再修正した。
連結決算(単位:億円) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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営業利益は、経営環境の更なる悪化による大幅な販売数量の減少及び棚卸資産の低価法による評価損の拡大等による業績悪化を織り込んだ。
当期純利益は、減損損失の計上(約70億円)、投資有価証券評価損の悪化(約50億円)、田辺三菱製薬おけるHCV引当金の繰入額計上(88億円)といった特別損失の拡大を織り込んだ。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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