欧州の過酸化水素カルテル被害で代理訴訟

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ブラッセルのCartel Damage Claims (CDC) は4月23日、過酸化水素の価格カルテルで被害を蒙ったパルプ、製紙業の32社に代わって、カルテルに参加した6社をドイツの法廷に訴えた。

まず情報提供を求め、その後に損害賠償を求める。
予備的に賠償額を430百万ユーロとしており、金利を加算すると約50%増しになる。

CDC2002年に設立された会社で、独禁法違反に対して私的な損害賠償を代行する。
(ホームページ:
http://www.carteldamageclaims.com/english/introduction_engl.htm

訴えられたのは次の6社:
 
Evonik Degussa GmbH (Germany
 
Akzo Nobel N.V. (Netherlands
 
Solvay SA/N.V. (Belgium
 
Kemira Oyj (Finland
 
Arkema SA (France
 
FMC Foret SA (Spain):米国FMCの子会社

被害者の32社は欧州13カ国に94の工場を持ち、過酸化水素を各社から購入していた。
社名は公表されておらず、各社は損害賠償権をCDCに売却し、委任している。

この方式は、これまで米国流の集団訴訟を受け入れるのを渋っている欧州で、私的な損害請求を進める新しい方式とされている。

ーーー

EUは2006年5月3日、過酸化水素及び過ホウ酸塩のカルテルに参加したとして、7社に合計388百万ユーロの制裁金を科したと発表した。

下記9社は1994から2000までの間、過酸化水素及び過ホウ酸塩について情報を交換、生産を制限、シェアと需要家を割り当て、価格を操作していた。

200212月に Degussa が減免を申請した。これを受けECが調査を開始し、その結果、減免を求めて情報提供が相次いだ。

社名 減額(%) 制裁金
(千ユーロ)
 
Degussa   100      0 <p>HTML clipboard</p>重犯50%加算、減免制度で  129.938→0
Solvay    10   167,062 重犯50%加算、減額
Total/Elf Aquitaine/Arkema    30   78,663 重犯50%加算、減額
Akzo Nobel    40   25,200  減額
FMC Foret     25,000  
Kemira     33,000  
Edison (now Solvay Solexis)     58,125 重犯50%加算
Snia/Caffaro      1,078  
L'Air Liquide      - 時効1998に事業中止)
合計    388,128  

発表には、この決定がカルテル被害者が損害賠償を訴えるのに利用できると付言している。

 


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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