住友化学、三井化学、三菱化学はいずれも大赤字となった。
住友化学
大幅減益で、期末配当を3円減とした。
次期については営業損益で350億円の黒字を見込む。
サウジのラービグ計画の本格稼動で持分法投資損益が改善する。
次期配当は未定。
連結決算 単位:億円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減 2009年 上期 下期 基礎化学 106 -153 -259 -12 -142 石油化学 45 -303 -349 -101 -202 精密化学 114 16 -98 22 -5 情報電子化学 63 -10 -73 123 -133 農業化学 209 244 35 123 122 医薬品 465 324 -141 192 131 その他 37 -79 -116 -36 -43 全社 -15 -17 -3 -1 -16 合計 1,024 21 -1,003 310 -289
基礎化学、石油化学ともに大幅な赤字となった。情報電子化学も若干の赤字に転落した。
医薬品は研究開発費の増加等により減益。
その他での大幅減益は、高分子有機EL 等の新規事業における研究開発費等の増加による。
医薬品のうち、大日本住友製薬の実績は以下の通り。(単位:億円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 08/3 2640 398 377 256 09/3 2640 312 314 200 増減 0 -86 -63 -56
経常損益では、持分法投資損益が前期の112億円の利益から128億円の赤字と、240億円の悪化となっている。
特別利益では前期にラービグ計画の上市に伴う持分変動利益が288億円あったが、当期には退職給付信託設定益が148億円あった。
株価下落で目減りした退職給付債務の積立不足額に充当するため、保有株式の一部を拠出して、164億円の退職給付信託を設定した。この株式の簿価と信託設定金額との差額である148億円を特別利益として計上した。
特別損失には構造改善費用 88億円、有価証券評価損 41億円などのほか、減損損失として208億円を計上した。
環境の著しい悪化等により、収益性の低下した一部の事業用資産について減損損失を計上したもので、減損対象は、カプロラクタムや耐熱性セパレーターなど。
同社では繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、その一部を取崩し、196億円を法人税等調整額に計上した。
その分だけ税引後損益が悪化した。(この分はその時点で利益が回復し課税所得があれば税金の減になる。)
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三井化学
大幅減益で、期末配当を3円減とした。
2010年予想でも営業損益で380億円の赤字、当期損益で560億円の赤字とみている。
次期配当は未定だが、中間配当は取り止める。
藤吉社長は次期に2年連続で営業赤字になる見通しとなったことの責任を取り、社長を辞任する。
連結決算 単位:億円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減 増減理由 2009年 数量差 交易条件 固定費他 上期 下期 機能材料 359 -160 -519 -274 -132 -113 92 -252 先端化学品 108 73 -35 -5 -10 -20 36 38 基礎化学品 335 -320 -655 -465 -160 -29 -2 -318 その他 34 1 -33 -20 -15 16 -2 3 全社 -63 -49 14 -24 -25 合計 772 -455 -1,227 -764 -317 -146 -28 -427
機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、生活・エネルギー材(機能加工品)、電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料 先端化学品 精密化学品、農業化学品 基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、PE、PP
機能材料、基礎化学品が下期に大幅赤字となり、通期で赤字転落した。数量減と交易条件差(コスト減以上の値下がり)が大きい。
当期の業績及び厳しい経営環境を考慮し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、当期末において繰延税金資産を取崩すこととし、その影響額 447億円を法人税等調整額に計上した。
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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