注目会社 2009年3月決算-5

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旭化成、東ソー、トクヤマ、宇部興産

旭化成

大幅減益だが、ケミカルズ、エレクトロニクスなどの減益をホームズ、ファーマ(いずれも前期損益維持)がカバーしている。

次期は黒字を見込む。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3  16968   1277   1205   699 6.0 7.0
09/3  15531 350 325 47 7.0 3.0
増減 -1437 - 927  -880   -652 1.0 -4.0
10/3予 13550 410 390 150 5.0 5.0
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減      増減理由 2009年
数量差 売値差 (うち為替) その他 上期 下期
ケミカルズ   652    -4  -656 -195 -72 (-179) -389   185  -189
ホームズ   214   219    5 33 26 ( - ) -54   30   189
ファーマ   127   120   -6 88 -74 ( -26) -20   102   18
せんい    72    -9   -81 -31 -16 ( -29) -34   17   -26
エレクトロニクス   222    33  -189 -51 -95 ( -35) -43   82   -49
建材    28    17   -11 7 13 ( - ) -31    8    9
Service & Eng.    52    56    5 4 0 ( 0) 1   31   25
全社   -90   -83    7 - - ( - ) 7   -53   -30
合計  1,277   350  -927 -145 -219 (-269) -563   402   -52

ケミカルズが下期に大幅赤字となって通期で赤字、せんいとエレクトロニクスも大幅減益となった。
他方、ホームズが下期に大きな益となり、損益を維持した。

次期の営業損益の予想は、せんいは20億円の赤字だが、ケミカルズは150億円の黒字、エレクトロニクスも80億円の黒字としている。
ケミカルズは販売量の回復と在庫評価損の減を折り込んだ。

緊急対策として以下を決めた。
  ・汎用事業の見直し
    既に意思決定したもの 
     ①ポリエステル長繊維の生産停止
     ②モノフィラメント事業からの撤退
     ③特薬事業(コエンザイムQ10)からの撤退(極端な供給過剰で大幅値下がり)
     ④軽量気泡コンクリート・白老工場の閉鎖(需要減)
  ・固定費の削減  ▲約135億円(減価償却費の増36億円を含む)
  ・設備投資の削減
     08年度実績1,267億円→09年度予定 900億円
  ・在庫(棚卸資産)の圧縮
  ・役員報酬の減額 ▲10%~20%

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東ソー

大幅減益で、営業損益、経常損益、当期損益がいずれも赤字となった。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3  8274    591   525   252 4.0 4.0
09/3  7335 -203   -211 -253 4.0 2.0
増減 -939  -794 -735   -504 - -2.0
10/3予 6500 250  200   90 3.0 3.0
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減 上期 下期
石油化学   150   -48  -198   45   -92
基礎原料   27  -175  -201   -8  -166
機能商品   380   -9  -389   66   -75
サービス   34   28   -5   18   11
合計   591  -203  -794   120  -323
石油化学 オレフィン製品、スチレンモノマー、キュメン、PE、クロロプレンゴム、PPS 樹脂
基礎原料 苛性ソーダ、VCM、PVC、セメント
機能商品 無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、水処理装置、電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット)、機能材料、ウレタン原料等


石油化学、基礎原料(ビニルチェーン)、機能商品(ポリウレタンなど)いずれも大幅減益となった。特にビニルチェーンの赤字が大きい。
いずれも下期に大幅赤字となった。

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トクヤマ

減益だが、営業損益ではセメントほかが若干の赤字となっただけで、化学品、特殊品とも健闘し、黒字を維持した。
特に多結晶シリコンなどの特殊品は好調。

当期損益では「防耐火個別認定仕様と異なる仕様の樹脂サッシ販売」に関する製品補償損失引当金繰入や関連する固定資産の減損損失などで赤字となった。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3  3075    353   304   189 3.0 6.0
09/3  3010 227 204 -56 3.0 3.0
増減 -65  -126 -100  -245 - -3.0
10/3予 2860 200 180 100 3.0 3.0
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減 上期 下期
化学品   47   13   -35   14   -1
特殊品  305  263   -42  155  109
セメント建材他   37   -6   -43   -1   -4
全社  -36  -43   -7  -21  -22
合計  353  227  -126  146   81
化学品 苛性ソーダ、ソーダ灰、塩化カルシウム、珪酸ソーダ、VCM・PVC、PO、イソプロピルアルコール、メチレンクロライド、二軸延伸PPフィルム、共押出多層フィルム、無延伸PPフィルム、微多孔質フィルム
特殊品 多結晶シリコン、湿式シリカ、乾式シリカ、窒化アルミニウム、歯科器材、医薬原体・中間体、プラスチックレンズ関連材料、イオン交換樹脂膜、金属洗浄用薬品、電子工業用高純度薬品、環境関連装置、医療診断システム、半導体ガスセンサ
セメント建材その他 普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、生コンクリート、プラスチックサッシ、セメント系固化材、廃棄物処理

特別損失に樹脂サッシの製品補償損失引当で200億円、関連固定資産の減損損失で29億円を計上した。

2009/1/10 樹脂サッシメーカー5社が防火性能偽装

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宇部興産

化成品・樹脂が下期に損益が悪化したが、全部門で営業黒字を維持した。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3   7043    559     467   240  -   5.0
09/3   6847    312 204 117  - 4.0
増減   -196  - 247 -263  -124  -  -1.0
10/3予 5520  250 145  70  -  未定
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減 上期 下期
化成品・樹脂  186   21  -165  107  -87
機能品・ファイン  141   67   -74   59   8
建設資材  109   89   -20   38   51
機械・金属成形   67   41   -26   23   17
エネルギー・環境   47   87   40   42   44
その他   9   8   -1   4   4
全社   1   -1   -1   -3   2
合計  559  312  -247  271   40


化成品・樹脂 カプロラクタム、ナイロン樹脂、工業薬品、ポリブタジェン
機能品・ファイン 機能性材料、ファインケミカル、医薬品
建設資材 セメント、クリンカー、生コンクリート、建設資材製品
機械・金属成形  諸機械器具、アルミホイール
エネルギー・環境 石炭、電力

化成品・樹脂セグメントは第3四半期以降、出荷は大幅に落ち込み減産となった。製品価格が大幅に下落し在庫評価額を下回ったため、多額のたな卸資産評価損を計上した。

石炭、電力卸などのエネルギー・環境セグメントが好調。


* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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