注目会社 2009年3月決算-7

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武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、エーザイ

武田薬品工業

減益決算となったが、これは米国の事業を今後拡大するための再編に伴うもので、営業損益には再編のための費用が2423億円入っており、これを除くと実質増益となる。当期の特別損益にはこの関連で713億円の益が入っている。

期末配当を当初予定の88円から4円増やし、年間180円とし、次期も同様とする。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3 13748   4231 5364 3555 84.0 84.0
09/3 15383 3065 3272 2344 88.0 92.0 
増減 1635 -1167 -2092 -1211 4.0 8.0
10/3 15000 3950  4000 2800 90.0 90.0

同社は2008年3月、Abbott Laboratories との50/50JVのTAP Pharmaceutical Products Inc. を均等な価値で会社分割を実施することでAbbottと合意した。ルブロン事業をAbbot に譲渡し、残りを同社が取り込む。

2008/4/4  武田薬品工業、米国事業再編

同社は更に、米国バイオ医薬品会社 Millennium Pharmaceuticalsを約88億ドルで買収することを発表した。

2008/5/13 2008年3月期 注目会社決算 武田薬品工業

この2つの関係で以下の損益が当期の決算に折り込まれた。

TAP社の分割・子会社化 ミレニアム社の買収    合計
販売費一般管理費 無形固定資産償却費    258億円    427億円 685億円
のれん償却費     - 139億円 139億円
研究開発費 インプロセスR&D費    543億円 1,056億円 1,599億円
合計=営業損益    -801億円 -1,622億円  -2,423億円
特別利益 ルプロン事業譲渡益    713億円    713億円

また、今期には為替の影響で、営業損益で前期比 171億円の赤字となっている。(売上高で791億円のマイナス)

ーーー

第一三共

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3 8801 1568   1691    977 35 35
09/3 8421 883  546 -3358 40 40 
増減 -380 -685 -1144 -4335 5 5
10/3 9600   960  690 400 30 30

同社は当期にRanbaxy Laboratoriesを子会社化した。(2008年11にランバクシー株の63.9%を取得した。)

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上 参照

2008年9月に米FDAが品質問題を理由にRanbaxyのインドの2工場から米国への輸入を禁じた。更に本年2月にはFDAがインドのパンタ・サヒブ工場のデータの一部に虚偽があるとして、これを使った製品を認可しないとした。

米国市場への輸出の激減で、Ranbaxyの業績は悪化している。

同社の株価は低迷を続け(上記記事参照)、本会計年度末における同社の株価が第一三共の取得価格に比べ50%以上下落したため、株式評価損を計上、連結決算では特別損失に「のれん償却」 3544億円を計上した。

取得価額は4883億円で、ネット資産を引いた「のれん」は4087億円となり、20年で均等償却する予定であった。(当期の通常償却 108億円)。今回、3544億円を追加償却した。

Ranbaxy の影響を除くと、当期の損益は以下の通りとなる。

売上高 営業損益 経常損益 当期損益 
08/3 8801 1568 1691    977
09/3 8421   883  546 -3358
うち
Ranbaxy損益   386      6 -239 -162
同買収関連 -198 -198 -3695
上記以外損益 8035 1075 983    499
前年比 -766 -493 -708 -478

   * 特別損失にのれん償却 -3544

売上高については、非医薬品の日本乳化剤などを日本触媒に売却したことによる減や、前年度に欧州子会社の決算期変更による余分の3か月分(2007/1~3)が加算されていることなどで前期比減となった。

営業損益では売り上げ減の影響のほか、海外事業強化のための販管費増、研究開発費の増で減益となった。

同社では2009年の課題の1つとして、複眼経営の実現に向けたランバクシーとの協業体制の推進を挙げている。
  ・FDA問題の早期解決
  ・バリューチェーン機能の協業体制の構築
  ・グローバルリーチ活用策の推進

ーーー

アステラス製薬

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3  9726  2759  2842    1774    50  60
09/3  9657  2504   2715  1710  60  60
増減   -69  -255  -127   -65  10   0
10/3予  9680 2150  2190  1350   60  65

研究開発費が245億円増えたため、減益となった。
開発プロジェクトの進展に加え、アルツハイマー型認知症治療薬のライセンス料、買収したアジェンシス社の研究開発費の追加、つくば研究センター新研究棟の償却費などで増加となった。

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エーザイ

当期に10円増配して年間140円とし、次期も更に増配して年間150円とする予定。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3 7343 177 189  -170 65 65
09/3 7817 918   826  477 70 70
増減 475 741  637  647 5 5
10/3予 8200   1030 970   630  70 80

エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業であるMGI PHARMA, INC を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結した。

このため、昨年度と本年度の損益には MGI Pharma 買収に伴う特殊整理を含んでいる。

これを除外すると、以下の通りで、研究費は増加したが、営業損益は増益、当期損益は若干の減益にとどまった。

連結損益  単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 研究費 経常損益  当期損益 
08/3 7343   1108 1378   1119   707
09/3 7817   1203  1553   1111 693 
増減 474 95 175 -8    -14

* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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