武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、エーザイ
武田薬品工業
減益決算となったが、これは米国の事業を今後拡大するための再編に伴うもので、営業損益には再編のための費用が2423億円入っており、これを除くと実質増益となる。当期の特別損益にはこの関連で713億円の益が入っている。
期末配当を当初予定の88円から4円増やし、年間180円とし、次期も同様とする。
連結決算 単位:億円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同社は2008年3月、Abbott Laboratories との50/50JVのTAP Pharmaceutical Products Inc. を均等な価値で会社分割を実施することでAbbottと合意した。ルブロン事業をAbbot に譲渡し、残りを同社が取り込む。
2008/4/4 武田薬品工業、米国事業再編
同社は更に、米国バイオ医薬品会社 Millennium Pharmaceuticalsを約88億ドルで買収することを発表した。
2008/5/13 2008年3月期 注目会社決算 武田薬品工業
この2つの関係で以下の損益が当期の決算に折り込まれた。
TAP社の分割・子会社化 | ミレニアム社の買収 | 合計 | ||
販売費一般管理費 | 無形固定資産償却費 | 258億円 | 427億円 | 685億円 |
のれん償却費 | - | 139億円 | 139億円 | |
研究開発費 | インプロセスR&D費 | 543億円 | 1,056億円 | 1,599億円 |
合計=営業損益 | -801億円 | -1,622億円 | -2,423億円 | |
特別利益 | ルプロン事業譲渡益 | 713億円 | 713億円 |
また、今期には為替の影響で、営業損益で前期比 171億円の赤字となっている。(売上高で791億円のマイナス)
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第一三共
連結決算 単位:億円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同社は当期にRanbaxy Laboratoriesを子会社化した。(2008年11にランバクシー株の63.9%を取得した。)
2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上 参照
2008年9月に米FDAが品質問題を理由にRanbaxyのインドの2工場から米国への輸入を禁じた。更に本年2月にはFDAがインドのパンタ・サヒブ工場のデータの一部に虚偽があるとして、これを使った製品を認可しないとした。
米国市場への輸出の激減で、Ranbaxyの業績は悪化している。
同社の株価は低迷を続け(上記記事参照)、本会計年度末における同社の株価が第一三共の取得価格に比べ50%以上下落したため、株式評価損を計上、連結決算では特別損失に「のれん償却」 3544億円を計上した。
取得価額は4883億円で、ネット資産を引いた「のれん」は4087億円となり、20年で均等償却する予定であった。(当期の通常償却 108億円)。今回、3544億円を追加償却した。
Ranbaxy の影響を除くと、当期の損益は以下の通りとなる。
売上高 | 営業損益 | 経常損益 | 当期損益 | |
08/3 | 8801 | 1568 | 1691 | 977 |
09/3 | 8421 | 883 | 546 | -3358 |
うち | ||||
Ranbaxy損益 | 386 | 6 | -239 | -162 |
同買収関連 | -198 | -198 | -3695 | |
上記以外損益 | 8035 | 1075 | 983 | 499 |
前年比 | -766 | -493 | -708 | -478 |
* 特別損失にのれん償却 -3544
売上高については、非医薬品の日本乳化剤などを日本触媒に売却したことによる減や、前年度に欧州子会社の決算期変更による余分の3か月分(2007/1~3)が加算されていることなどで前期比減となった。
営業損益では売り上げ減の影響のほか、海外事業強化のための販管費増、研究開発費の増で減益となった。
同社では2009年の課題の1つとして、複眼経営の実現に向けたランバクシーとの協業体制の推進を挙げている。
・FDA問題の早期解決
・バリューチェーン機能の協業体制の構築
・グローバルリーチ活用策の推進
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アステラス製薬
連結決算 単位:億円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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研究開発費が245億円増えたため、減益となった。
開発プロジェクトの進展に加え、アルツハイマー型認知症治療薬のライセンス料、買収したアジェンシス社の研究開発費の追加、つくば研究センター新研究棟の償却費などで増加となった。
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エーザイ
当期に10円増配して年間140円とし、次期も更に増配して年間150円とする予定。
連結決算 単位:億円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業であるMGI PHARMA, INC を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結した。
このため、昨年度と本年度の損益には MGI Pharma 買収に伴う特殊整理を含んでいる。
これを除外すると、以下の通りで、研究費は増加したが、営業損益は増益、当期損益は若干の減益にとどまった。
連結損益 単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 研究費 経常損益 当期損益 08/3 7343 1108 1378 1119 707 09/3 7817 1203 1553 1111 693 増減 474 95 175 -8 -14
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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