ペトロチャイナ、シンガポール石油株 45.51%を買収

| コメント(0)

中国石油天然気(ペトロチャイナ)は5月24日、同社が、シンガポールのケッペルグループ(Keppel) からシンガポール石油(SPC)の45.51%の株式を全て買収することで合意したと発表した。1株 S$6.25(24%のプレミアム)で、買収総額は約10億2千万米ドルとなる。

買収完了後には、中国政府の承認を得た上で、SPCの残り全株式買収のオファーを行う。
Keppel と同じ株価で買収する計画で、その場合、Keppel分を含めた総買収金額は22億5千万米ドルとなる。

シンガポールのM&A法(Singapore Code on Take-overs and Mergers14条では、企業の株式30%以上を取得した者は残りの株式の買収を提案することが義務付けられている。

ペトロチャイナは残り株式買収の意図を持ち、Deutsche Bank に依頼して株主への公告を既に行っている。

 

SPCは豪州、中国、インドネシア、ベトナムで石油や天然ガスの開発などを展開している。



同社とChevron との50/50JVのシンガポール製油(Singapore Refining Company )はジュロン島に29万バレル/日の精製能力を持ち、ShellExxonMobil
と並びシンガポールの三大石油精製メーカーである。
SPCはまた、原油や燃油の港湾輸送や小売りなども行っている。
Pulau Sebarok220,000m3の貯蔵ターミナルを持つ。

最近の業績は以下の通り。(米ドル換算)

  2008 2007
Sales  768億ドル  605億ドル
Net Profit   1.6億ドル   3.6億ドル



ペトロチャイナによると、主な目的はダウンストリームの取得で、SPCはペトロチャイナが国際戦略を進めていくためのプラットホームとなる。

ペトロチャイナは石油精製ではシノペックに差を付けられており、中国南部で新設や拡張を行っている。
同社は既にシンガポールで活動しているが、製油所を手に入れることでvalue chain の統合が可能となった。

Keppelは政府系複合企業で(Temasek が出資)、海底石油掘削機器の世界最大のメーカー。
一時は
SPC77%を所有していたが、現在は45.51%を所有している。
SPCの残りの株主は名義は多数だが、実質は政府の
Temasek45.54%となっている。

今回の株式売却について、Keppel のCEOは、「過去10年にわたり、SPCを良質のエネルギー製品の供給者に育成し、かつ、石油開発・生産に上流展開してきた。今回の売却で株主価値を高めるチャンスを捉えた」としている。

ーーー

ペトロチャイナは昨年5月、新日本石油との間で、新日石子会社の新日本石油精製が保有する大阪製油所(115千バレル/日)を共同出資会社として運営することで合意した。同製油所を輸出特化型製油所に転換するため新会社を設立、ペトロチャイナが49%出資する。
当初は本年4月実施予定であったが、必要手続き等に時間を要し、6月以降となっている。


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


コメントする

月別 アーカイブ