ダウは5月11日、子会社のDow Europe が合成ゴム事業の売却を検討していると発表した。
J.P. Morgan を財務アドバイザーに起用した。
この事業自体は儲かっているが、事業の効率化のためとしている。
同社の合成ゴム事業は、以前の東ドイツの合成ゴムメーカーの統合でできたBuna Sow Leuna Olefinverbund (BSL) の事業で、1996年にダウがBR/ESBRの販売を受託し、1997年9月にBSLの80%を買収、2000年6月に残り20%をドイツ政府から買収した。
Schkopau に工場をもち、SBR、 ポリブタジエンゴム (PBR)、Lithium Lo Cis ポリブタジエンゴム (Li-PBR)、nickel Ziegler-Natta 触媒 Hi Cis ポリブタジエンゴム (Ni-PBR)、エマルジョンSBR (ESBR)、 溶液重合SBR(SSBR) を製造販売している。
本年3月に年産6万トンの新しい溶液重合SBR (S-SBR)プラントが商業生産を開始した。
2007年6月、JSRはDow Europe からこのS-SBRの能力の50%、3万トンの引取権を取得している。
JSRは、2003年以降、欧州にてDOWとの間でS-SBRの生産委託を行なってきたが、さらに引取権を取得することにより、JSRの先端技術による高品質の製品の供給を拡大し、S-SBR市場におけるJSRのポジションをグローバルに強化することを狙った。
同社ではEUで2012年には、自動車の二酸化炭素排出規制が強化される予定で、さらなる低燃費化の必要から省燃費タイヤ用途でS-SBRへの ニーズが一層高まると見込んでいる。
JSRは引取権を有しているため、他社に事業が売却されても、影響はないと思われるが、相手次第だろう。
それとも、JSR が買収?
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ダウはほかに、オランダとフランスに工場を持っていた。
同社は1999年にシェルから、オランダ(Pernis) のエマルジョンSBRプラントとフランス(Berre) のcobalt-ポリブタジエンゴム(Co-PBR)プラントを買収した。
同社は2004年初めにPernis の工場を停止した。Berre の工場についても2008年3月に停止を決めた。
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ダウはまた、独自のINSITE 技術によるメタロセンEPDM (Nordel®)を持っている。
同社は1996年4月にDuPont と50/50JVの DuPont Dow Elastomers を設立し、これもJVに移管した。
しかし、ダウは2005年1月、EPDMや同じくINSITE 技術によるポリオレフィンエラストマー(Engage®)、塩素化ポリエチレン(Tyrin®)などをJVから引き取るオプションを選んだ。
これらは現在、ダウのエラストマー部門に属するが、これについては今後も維持する。
なお、DuPont Dow Elastomers はDuPont がダウの持分を買取り、DuPont Performance Elastomers と改称した。
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付記
ダウは5月20日、2つの事業の売却が決まったと発表した。
1)塩化カルシウム事業:210百万ドルで
2)Total Raffinaderij Nederland N.V. のダウの持分(45%):Valero Energy に725百万ドルで.
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
Dowはモートンソルト売却、増資、オランダのフランストタルとの合弁権益売却など矢継ぎ早にDe-Levarageを実行しますね。合成ゴム売却となると農薬部門の売却はかなり後退したと見ました。
危機からの回復がすごい。
先日の決算発表時に「これから90日間が勝負」と言ってました。
原油高と業界の経営インパクトはどうなるのでしょうか?Dowは一部値上げしていましたが、まだまだ需要が小さいようなイメージを持っていますが。
付記を追加しました。
2つの事業の売却が決まり、同社でも予定より早く進んでいるとしています。