サウジのSABICとSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書

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サウジのSABICSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) 59日、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。

SABICの計画:投資額 32億ドル
   
  MMA  250千トン
  PMMA  30千トン
 アクリロニトリル  200千トン
 ポリアクリロニトリル   50千トン
 ポリアセタール   50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ   40千トン
   
Sipchemの計画:投資額 8.1億ドル  
     
 ポリ酢酸ビニル  125千トン  
 エチレン酢ビ  200千トン  
     

いずれも2013年にスタートの予定。

覚書では、SABICSipchemに割り当てられた原料エタンを子会社でエチレンにして供給SipchemSABICMMA生産用の一酸化炭素を供給するとなっている。

MMAの製法にはACH法、直酸法、Lucite (三菱レイヨンが買収予定)のエチレン法(Alpha technology)などがある。
ACH法の場合はアクリロニトリル生産時に副生する青酸を利用する。

MMA用の一酸化炭素であればLucite のエチレン法(Alpha technology)である。

ーーー

Sipchemについては下記を参照。

2008/2/29 サウジ Sipchem の石油化学計画 

第二期計画で、酢酸、VAM、一酸化炭素を既に生産しており、今回の計画はVAMの利用。 

2006年11月、第三期計画として Sipchemはオレフィンと誘導品計画を発表した。

    
原料 アラムコ(エタン35%、プロパン65%
    
製品 :<p><p>HTML clipboard</p></p>エチレン  1,000千トン
        プロピレン 215千トン
        
HDPE 500千トン
        
EVA / LDPE 250千トン
        
PP
                 ANM 200千トン(Ineos 技術)
        
MMA 250千トン(Lucite 技術)
        
Carbon fiber
                 Ethylene vinyl alcohol
                 Polyvinyl acetatePolyvinyl alcoholPolyvinyl butyral
                 Polyacrylonitrile
                 Sodium cyanide
                 PE pipe and film
     生産開始:
2011
     
投資額:US$ 7 billion

しかし、同社は2008年6月にエチレン、PE、PP計画を取り止めた。
中東の石化プラント建設ラッシュで建設業者が確保できず、スケデュールやコストに狂いが出たこととファイナンス問題が理由とされている。

同社はエチレン、プロピレンをAl-Jubail の他のメーカーから購入し、付加価値製品の生産に専念することとした。

2008/6/23  サウジ Sipchem がエチレン、PE、PP計画取り止め

今回のSABICの新計画は<p>HTML clipboard</p>(ポリアセタールを除いて)全て、Sipchemの第三期計画に入っていたものである。(上記の青字) 

2008年2月に、SABICがSipchemの第三期計画に参加するとの情報が流れた。
別途Sipchemは、ANMとMMAの技術を供与するIneos (Luciteに22%出資)にも参加の要請を行っている。

おそらく、その後、事業分担の話し合いが行われ、Sipchemは酢酸関係(上記の
赤字)に限定し、残りをSABICに譲ったものと思われる。


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