経済産業省は6月16日、エチレンセンター11社の2008年度の収益状況を発表した。
それによると、
2008年度のエチレン生産量は、世界の金融資本市場の危機の影響や原油価格の乱高下など、過去に類をみない混乱による景気の下降を背景に、各エチレンセンターとも稼働率が低下し、688万2千トン(対前年同期比11.1%減)と大幅に減少した。
経常利益は、年後半の国内外の需要が大幅に減少したことにより、▲1,825億円となった。
過去の年度別推移は以下の通り。(単位:億円)
年度 | 経常損益 | 営業損益 | |
単独 | 連結 | ||
00 | 913 | 1,338 | |
01 | 75 | 211 | 643 |
02 | 431 | 613 | 1,236 |
03 | 654 | 709 | 1,380 |
04 | 2,132 | 2,156 | 3,338 |
05 | 1,753 | 1,770 | 2,946 |
06 | 2,725 | 2,455 | 3,856 |
07 | 2,108 | 1,900 | 2,973 |
08 | -1,825 | -2,015 | -2,034 |
経常損益の赤字は1993年の-742億円以来のものだが、それを大きく上回る。
調査を開始した1979年以来最悪となった。
産構法時代(1983-88年)も黒字であったが、その後のバブルで大幅増益となった。
バブル崩壊で一転赤字となり、その後も低迷、2000年に入り、「選択と集中」が始まったが、中国バブルで大幅増益となり、「選択と集中」の動きは中断した。2007年度は、石油化学各社は原料価格高騰分をフルに価格転嫁できず、減益となった。
2008年9月中間決算では特に7ー9月にナフサが大幅に上昇、これが転嫁できないために、大幅な減益となった。
下期にはナフサは下がったが需要の減少が大きく響き、在庫評価損も出て、大きな赤字となった。
半期別 経常損益(億円)
07/上 1,286 下 822 08/上 15 下 -1,840
集計対象は下記の通りだが、連結ベースの場合は連結対象会社の変更等があるので、前年度と単純な比較は出来ない。
単独ベース エチレンセンター |
連結ベース 集計区分 | 参考 |
三井化学、大阪石油化学 | 三井化学 基礎化学品、機能材料部門 | 2009/5/13 注目会社 2009年3月決算-4 |
丸善石油化学 | 丸善石化 | |
山陽石油化学 | 旭化成 ケミカルズ部門 | 2009/5/14 注目会社 2009年3月決算-5 |
出光興産(石油化学部門) | 出光興産 石油化学製品部門 | 2009/5/9 注目会社 2009年3月決算-2 |
東燃化学 | 東燃ゼネラル 石油化学製品部門 | |
昭和電工 | 昭和電工 石油化学部門 | |
住友化学 | 住友化学 石油化学部門 | 2009/5/13 注目会社 2009年3月決算-4 |
東ソー | 東ソー 石油化学部門 | 2009/5/14 注目会社 2009年3月決算-5 |
三菱化学 | 三菱化学 石化部門 | 2009/5/13 注目会社 2009年3月決算-4 |
新日本石油(石油化学部門) | 新日本石油 石油化学製品部門 | 2009/5/9 注目会社 2009年3月決算-2 |
参考 2009/5/20 2009年3月度決算対比
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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