Huntsman はHexion との合併が破談になった後、Hexionに対する買収資金供与を拒否した Credit SuisseとDeutsche Bank に対し40億ドル以上の損害賠償を求めて訴えていたが、6月15日に裁判が始まった直後の22日、両銀行と和解が成立したと発表した。
2007年7月、Hexion Specialty Chemicals (投資会社Apollo Management の100%子会社)が、借入金込みで106億ドルで Huntsman を買収する契約を締結した。BasellによるHuntsman買収契約を破棄しての契約締結であった。
これはバブル絶頂期の取引で、その後ハンツマンの株価は大幅に下がったため、Hexionは2008年6月、この買収契約が実行不能であると宣言する訴えを裁判所に提出した。
しかし、裁判でHexionは敗訴、このため同社は合併に踏み切ったが、合併資金の融資を約束した銀行がこれを拒否し、実現が困難になった。
このため、Huntsman はHexion に対して30億ドルの損害賠償(+懲罰賠償、弁護士費用、金利)を求めたが、12月15日、Huntsman と Apollo のトップ同士の会談で、Hexion と親会社のApollo Managementが解決金として10億ドルを支払うことで決着した。
12月19日 違約金325百万ドル受領
12月23日 250百万ドル受領(10年の転換社債)
12月30日 425百万ドル受領
しかし、Huntsman はHexionに対する買収資金供与を拒否した Credit SuisseとDeutsche Bank に対し40億ドル以上の損害賠償を求めて訴えていた。
2008/12/15 Huntsman、Hexionとの合併契約を破棄
6月15日に始まった裁判では、Huntsman は、Hexionとの合併交渉で同社はHexionを信用していなかったが、Huntsman の取引銀行の両行が融資を引き受けたために交渉を始めたとし、両銀行は合併資金を出す計画はなく、Hexion と組んで、Basell によるHuntsman 買収を邪魔するのが目的であったと主張した。
Hexion の親会社のApollo Management は銀行に対し、Huntsman が買収を呑んだ場合は買収価格の値下げ交渉を行い、銀行に損をさせることはないと約束していたとする。
これに対し、銀行側は、なんら不当なことをしておらず、統合会社が破綻するとの見通しを含め、裁判で明らかにされるだろうと反論した。
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今回の銀行側との和解により、銀行は以下を約束した。
- 620 百万ドルの現金支払い
- 500 百万ドルの担保付ローン(7年間、LIBOR + 2.25% )
- 600 百万ドルの担保なしローン(7年間、利率 5.5%)
- 12 百万ドルの訴訟費用還付
合計1,732百万ドルの受け取りとなり、Hexion/Apollo との昨年12月の和解と合わせ、27億ドル以上を勝ち取ったこととなる。
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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