中国商務部は6月1日、米国とロシア原産の輸入電磁鋼板に対してダンピング調査を開始した。
商務部は合わせて、米国の電磁鋼板に対して相殺関税制度(輸出国の補助金を受けた輸入貨物に対し、国内産業保護のために補助金額の範囲内で割増関税を課す制度)による調査を開始した。
4月29日に武漢鋼鉄公司 と宝山鋼鉄が国内メーカーを代表して調査を要請した。
これは米国による中国製油井パイプ製品に対する反ダンピング、反補助金及び相殺措置に関する合同調査に対する報復である。ロシアのメーカーの米国子会社も合同調査の申請に加わっている。
ーーー
米国の鉄管メーカーと組合(United Steelworkers Union)は4月8日、中国の輸出した油井パイプ製品に対して、反ダンピングと反補助金及び相殺措置に関する合同調査を行うよう米国商務省とITCに申請した。
申請したメーカーは次の各社:
US Steel 、Evraz Rocky Mountain Steel、Maverick Tube、TMK-IPSCO、V&M Star LP Houston、V&M Tubular Corp. of America、Wheatland Tube.
このうち、Evraz Rocky Mountain Steel はロシアのEvraz が2006年に買収したOregon Steel Mills の一部。
TMK-IPSCO はロシアのTMKがEvraz と組んで、スウェーデンのSSAPから買収した鋼管製造会社。
訴えによると、中国は余剰能力の処分のため価格を大幅に下げたとされる。中国政府が人民元の低評価を含め、幅広い補助金を与えていると非難している。
2008年下半期の中国製品の輸入は上半期の3倍近くになっており、ほとんどの国内メーカーは赤字で、操業度は15%程度、在庫は18~24か月分もあるとしている。
カナダは既に昨年、反ダンピング及び相殺関税として2~91%を課している。EUも本年4月に同様に15~51%のダンピング課税を行っている。
これに対して、中国商務省の姚堅報道官は4月15日、「アメリカ当局は、この申請の立件を慎重に対処してほしい」と述べた。
「今回の金融危機は、アメリカから広がったものだ。アメリカは、経済の大国の責任を持ち、G20サミットで打ち出した誓約(保護貿易的な措置を講じてならない。大国特に先進国は最も重要な責任を負うべきである)を守るべきだ。中国側は、この調査に関心を寄せ、事件の進展に対して適切な対策を採る」と述べた。
同報道官は「アメリカ市場に輸出した中国鉄鋼製品は32億ドルに達したが、今年第1四半期の輸出は55パーセントも減少した。アメリカの鉄パイプ業界の申請は時宜に適さないものだ」と述べている。
しかし、米ITCは5月22日、6:0で中国からの輸入により国内産業が被害を受けていることを認めた。
この結果、商務省は相殺関税、ダンピング関税の調査を開始する。
米国の調査手続きは、ITCが損害について、商務省が調査開始手続・ダンピング・補助金について担当している。
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする