ベネズエラ、石油化学事業の国有化へ

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ベネズエラは2007年以降、通信、電力、セメント、石油など幅広い業種の企業の国有化を進めている。

2008/2/20 速報 WTI原油価格 後半 ベネズエラの石油国営化を巡ってのエクソンモービルとの争い

チャベス大統領は521日のテレビ演説で、鉄鋼関連会社を国有化すると発表した。
鉄鋼関連4社(Matesi TavsaOrinoco IronCOMSIGUA)とセラミック関連のCeramicas Caraboboの5社。

COMSIGUA(Complejo Siderurgico de Guayana, C. A. ) は神戸製鋼が36.7%、商社連合が30.3%を出資するHBIHot Briquetted Iron)のメーカー。
1989年9月設立で、能力は年産100万トン。

還元鉄は、空気中で再酸化し発熱するため、輸送が困難であるが、HBIは還元鉄に物理的圧力を加えることにより、たどん状にしたもので、これにより還元鉄の密度が高まり、再酸化の問題が解消し、輸送が容易になる。
電炉・転炉における製鋼原料として使用される。

522日には同国2位のバンコ・デ・ベネズエラをスペインのサンタンデール銀行から105000万ドルで買収することで合意した。

63日には14プラントにある70の天然ガス圧縮設備の国有化を発表した。

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今回、ベネズエラは石油化学事業の国有化について先週、国会で討議を始めた。決まるのは決定的とみられている。

石油化学が同国にとって重要な産業であり、海外出資者を国とのJVのマイナリティの株主にするという法案。

現在、多くの企業が国営化学会社Pequiven とのJVでベネズエラで活動している。

 

日本からは三菱ガス化学のメタノールのほか、三井物産がPP、PEのJVに参加している。

資者 出資先 出資比率 Pequiven 事業  
Law Debenture Corp
(投資会社)
Clorovinilo del Zulia  51.71% 48.29% VCM
PVC
クロルアルカリ
 
三菱ガス化学/
 三菱商事
Metanol de Oriente,
 METOR S.A.
23.75% /23.75% 37.50% メタノール 第1期:年産 750千トン
第2期:年産
850千トン 
 2006/12/27 三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設
三井物産 Polipropileno de
 Venezuela Propilven
15% 49.4% PP 110千トン
Poliolefinas Internacionales,
 C.A. Polinter,
1.6%   HDPE 120千トン 三井化学技術
LLDPE/HDPE 215千トン NOVA技術
LDPE 300千トン Basell技術
FMC Corp Tripoliven 33.3%   phosphorus-based chemicals  
Braskem SA
(計画段階)
Prolipropileno del Sur, S.A. 50% 50% PP 450千トン
Polietilenos de America, S.A. エチレン 1,300千トン
HDPE、LDPE、LLDPE 3系列計1,100千トン
 2007/12/20 Braskem Venezuela 国営Pequiven、石化JV設立
Koch Industries Inc. Profalca 35%   propylene  
Koch Industries Inc. Fertinitro 35%   fertilizer  
Snamprogetti SpA
(Eni SpA)
20%
Andersol SA
(Colombia)
Intequim     paint  
Phoenix
(Columbia)
Estizulia     PS 47千トン 

問題は接収で正当な代金が支払われるかどうかである。

これまでのセメント、石油、鉄鋼、銀行の接収で、ベネズエラは130億ドルの負債があるとされている。
原油価格の下落で、ベネズエラは石油掘削業者へ支払いを一部止めている。

Braskemは5日、JV計画を進めると述べた。
この計画は2007年
12月カラカスでの両国大統領の会談の席で発表されたものであり、例外扱いとなる可能性はある。

 


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