6月17日、資源エネルギー庁が石油天然ガス・金属鉱物資源機構に委託して運航している三次元物理探査船「資源」が下北半島東北端の尻屋崎東方海域約28kmで調査中に、同船の曳航するケーブルに海上自衛隊の潜水艦「おやしお」の船体が接触し、全10本のケーブルのうち7本が切断され、うち5本については一部が行方不明となった。
「資源」は回収したケーブルや予備ケーブルを使って補修作業を行い、調査を再開する予定だが、調査期間を今年4月30日から7月4日までと決め、漁業者などに通告しているため、予定の調査が終わらない可能性がある。
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資源エネルギー庁は平成19年度に、我が国周辺海域における石油・天然ガス資源の賦存情報を機動的・効率的に収集することを目的に、これまで保有実績のない三次元物理探査船(3D seismic vessel)を日本国公船として導入することとし、ノルウェーのPGS Geophysical As社所有のRamform Victory号を213百万ドルで購入した。
日中中間線上のガス田開発問題で日本も該当海域の探査に踏み切ることになったが、国内に妥当な船舶がないため、Ramform Victory号をチャーターした。
しかし、同船の探査実施に対し、中国政府は侵害行為であるとして抗議するとともに、艦艇が追跡してこれを妨害し、衝突寸前までいったともされる。
このようなこともあって、日本政府は探査船を国際法によって保護される政府公船とすることを決めた。
同船は「資源」と命名された。
長さ 86.2m
船幅 39.6m
総トン数 10,297トン
最大速力 13.2ノット
乗員数 約60名(操船員、物理探査要員合計)
曳航ケーブル数 最大12本
ケーブル長 最長6,000m
全長6,000mの探査線(streamer cable:受振器内蔵ケーブル)を最大12本搭載し、同じように曳航されるエアガンが海底に発した地震波が跳ね返ってくるのを受信することによって精細な三次元地図を作成する。何mの探査線を何本搭載、展開するかは海域に応じて変更される。
2008年2月の就役後、まず新潟県中越沖地震関連で柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性評価のデータ拡充のための探査を行った。
その後、太平洋側の東北地方・三陸沖へ移り、基礎試錘で賦存の可能性が高いと指摘されている海域から順に石油・天然ガスに加えてメタンハイドレートの資源探査を行っている。
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